コンクール福岡県大会(一般・職場の部)

そして昨日、一般・職場の部も開催されました。

第22回福岡県吹奏楽コンクール 一般・大学の部
2006年7月9日 於:イイヅカコスモスコモン

  1. ラシャスWE  (2)「イーストコーストの風景」より(ナイジェル・ヘス)――銀
  2. 飯塚吹    (3)交響曲第2番「キリストの受難」より(フェレル・フェラン)――金・代表
  3. 北九州交響吹 (4)プレスティジタート(K・キンドレット)――銅
  4. 九州芸術工科大 (1)「イギリス民謡組曲」より(レイフ・ヴォーン=ウイリアムズ)――銀
  5. 福岡交響吹  (1)ラザロの復活(樽屋雅徳)――銀
  6. 大野城市民吹 (1)交響詩「ローマの祭」より(オットリーノ・レスピーギ/仲田守編)――銀
  7. アトラクティブ・サウンズ・フェロー (1)マゼランの未知なる大陸への挑戦(樽屋雅徳)――銀
  8. 春日市民吹  (1)マゼランの未知なる大陸への挑戦(樽屋雅徳)――金・代表
  9. 福岡WE    (5)バレエ組曲コッペリア」より(L・ドリーブ/小長谷宗一編)――銀
  10. 大牟田奏友会 (3)星の王子さま(樽屋雅徳)――金・代表
  11. ビーバーズ  (4)「オセロ」より(アルフレッド・リード)――銅
  12. 西区市民吹  (1)「ハイランド賛歌」組曲より(フィリップ・スパーク)――金・代表
  13. 創価学会福岡 (3)祈り〜その時、彼女は何を想ったのか〜(飯島俊成)――金
  14. 北九州フィル吹 (3)歌劇「ヘンゼルとグレーテル」より(E・フンパーディンク/中原達彦編)――金・代表
  15. 福津市民吹  (3)「スペイン狂詩曲」より祭り(モーリス・ラヴェル森田一浩編)――銀
  16. 鞍手高校「永遠会」 (2)ザ・カウボーイ(ジョン・ウイリアムズ/カーナウ編)――金
  17. くるめシティーブラス (3)コロボックルの棲む渓谷「神居古潭」(八木澤教司)――銀
  18. 中村学園OB吹 (1)「モラヴィア組曲」より(P・スタネック)――金・代表
  19. コンフォートWE (1)交響組曲第9番「海のオーロラ」より(天野正道)――銀
  20. 博多WE    (2)「イーストコーストの風景」より(ナイジェル・ヘス)――銅
  21. レターナル・プランタンWO (1)3つの海の情景(鈴木英史)――金
  1. ブリヂストン (1)交響詩「ローマの松」より(オットリーノ・レスピーギ/鈴木英史編)

昨年九州大会金賞のレターナル・プランタンがまさかの代表落ち。西区と北九州フィルが健闘。
一般の部は、数年前に聴いた県大会に比べると、全体的に底上げがなされていたと思います。「こりゃだめだ」と思ったのはビーバーズと博多ウインドだけで、あとはそれぞれの団体の個性を楽しむことができました。銀賞上位はドングリ状態ではないでしょうか。
しかしその中でも素晴らしかったのは、やはり九州金常連の3団体。飯塚吹奏楽は朝2でしたが、地元ということもあってか余裕と貫禄のある演奏で、広がりがあり立体的なサウンドを存分に楽しめました。九州大会も会場が同じなので期待できます。春日市吹奏楽はいつもの安定感のある演奏でしたが、課題曲は例年に比べるとまだまだ未整理のところもあり、詰める余地が残っているように思いました。自由曲は中高生に大人気の曲でしたが、さすが大人の貫禄、この曲で今まで聴いた中では最高の演奏だったと思います。同じ樽屋作品でしかも新曲で挑戦の大牟田奏友会ですが、そんなに特長のない曲で、演奏は良かったものの内容が薄いように思いました。しかし課題曲は本当に素晴らしく、川口先生の情熱ある指揮によってこの地味で暗い曲に異様な迫力を持たせていました。
この3団体に続くのは中村学園OB吹でしょうか。いつものように木管の音色、技術ともに安定していましたが、今年は金管サウンドの伸びが素晴らしい。不純な音が混じっていないというのでしょうか。洗練されたサウンドでした。西区市民吹奏楽金管サウンドが気持ちよいほど響き渡っていました。ただ、課題曲はサウンドの完成度は高いものの急ぎすぎ、自由曲はまだまだ練習不足という印象です。北九州フィルハーモニック吹奏楽は音が立っておらず、なんだかもやもやした印象を受けました。ただ、自由曲は曲が曲だけに大変丁寧に作られたやさしい音楽で、癒されました。最後のハーモニーには少しゾクリとしました。
代表以外の金賞団体では、レターナル・プランタン・ウインド・オーケストラが頭ひとつ抜けていたと思います。人数的にも充実してきていつになく迫力のある音楽をしていました。自由曲は「海」の荒々しい情景が見えるようでした。個人的には、音色もサウンドも県大会のレベルではないという印象で、県落ちは本当に残念。来年の再起に期待です。続いて「惜しい」と思ったのが創価学会福岡吹。塩谷晋平氏の指揮での演奏もだいぶ板についてきて、特に自由曲は、彼女が何を想っていたのか想像するだに恐ろしいようなバリバリの現代曲で、インパクト十分でした。鞍手高校吹奏楽部「永遠会」*1は特にホルンが素晴らしかった。課題曲自由曲ともに安定感のある演奏でしたが、サウンド意識が足りないかと。
他に印象に残った団体は、まず福岡交響吹奏楽。いつになく整理されたサウンドとアナリーゼで、この時点までは一番良い課題曲の演奏だと思いました。ただ自由曲はソロの不安が露呈し、終盤に向かって音楽が停滞していました。九州芸術工科大学生音部*2吹奏楽は、少人数の特性を活かしたすっきりした好演。自由曲は古典的名曲だけに注文が多くなるのでこれ以上はコメントを差し控えます。福津市吹奏楽は難曲をよく演奏していましたが、テュッティになると細かい動きがほとんど見えなくなるのが残念。あと、ピアノをハープ代わりに使うのは絶対にやめたほうが良いと思います。くるめシティーブラスは昔聴いたこの団体とは比べ物にならないほど良い演奏だったと思います。ややうるさいものの全体として奏者が積極的に音楽をしていて、皆が楽しんで演奏しているのが客席にも伝わり、うれしくなりました。
さて、このように高いレベルで熾烈な代表争いを演じた一般の部でしたが、この後に演奏したブリヂストン吹奏楽団久留米の爆演によって、すべての印象が掻き消えてしまいました。課題曲はソロもサウンドも投げやりな感じでしたがサウンドのドライブ感がすごい。なぜこのように合奏練習の精度の低いことがありありの演奏でこれほどまでに完成度の高い演奏が出来るのか。奏者一人ひとりの音楽に対する意識が高いのでしょう。もはやアマチュアのレベルではありません。これはプロの肌触りです。「ローマの松」はもう圧巻。はるか地平線の遠くを見るようなピアニッシモからフォルテシッシモまで、じわじわと盛り上げていき、圧倒的な音楽世界を作り上げていました。

*1:「とわかい」と読む。OB会の名前らしいです。

*2:「なまおとぶ」と読む。アナウンスされるたびに会場から受けを取っていました。