第54回全日本吹奏楽コンクール(大学・職場・一般の部)結果
何かと忙しくて更新をさぼっていたら、大職一の全国大会も終わってしまいましたよ。九州の人間にとってはいささか残念な結果に。
以下プログラム・結果・ミニコメ。
第54回全日本吹奏楽コンクール 大学の部
2006年10月28日 於:宇都宮市民会館
- 静岡大学 (5)リコイル(ジョセフ・シュワントナー)――銀
- 福岡工業大学 (1)交響曲第1番「指輪物語」より(ヨハン・デ=メイ)――銀
- 立命館大学 (1)「スペイン狂詩曲」より祭り(モーリス・ラヴェル)――銀
- 福岡教育大学 (1)「シンフォニエッタ〜水都のスケッチ」より(ヤン・ヴァン=デル=ロースト)――銅
- 神奈川大学 (3)残酷メアリー(田村文生)――金
- 山形大学 (1)アブサロン(ベルト・アッペルモント)――銅
- 金沢大学 (1)喜歌劇「こうもり」セレクション(ヨハン・シュトラウス2世)――銅
- 龍谷大学 (5)波の通り道(酒井格)――金
- 文教大学 (3)「交響曲第4番」より(マルコム・アーノルド)――金
- 山口大学 (1)マゼランの未知なる大陸への挑戦(樽屋雅徳)――銀
- 札幌大学 (5)メディアの瞑想と復讐の踊り(サミュエル・バーバー)――銀
- 駒澤大学 (3)「幻想交響曲」より第5楽章(エクトル・ベルリオーズ)――金
大学の部は予想通りというか鉄板というか、山口大学がマゼランで銀賞と健闘した以外は意外性のない結果に。
金賞団体はどれも素晴らしい演奏だったのでしょうね。各団体が申し分なく実力を発揮してこその伝統だと思います。
CDには全団体の自由曲が収録されるとのことで、静岡大のリコイル、神奈川大の残酷メアリー、龍谷大の酒井作品、文教大のアーノルド、駒澤大の爆演(爆)など、注目の演奏が盛りだくさんです。これは絶対「買い」ですよ?
職場の部
2006年10月29日 於:宇都宮市民会館
- ブリヂストン (1)交響詩「ローマの松」より(オットリーノ・レスピーギ)――銀
- ヤマハ浜松 (3)すべての答え(清水大輔)――銀
- NTT東日本東北 (4)吹奏楽のための「おてもやん」「もぐら追い」(小山清茂)――銅
- 日立製作所ソフトウェア事業部 (2)ミュージカル「タンタン」より(D・ブロッセ)――銅
- 阪急百貨店 (4)「三都市物語」より<大阪>船渡御絵巻(杉浦邦弘)――銀
- NTT西日本中国 (2)バレエ音楽「ガイーヌ」より(アラム・ハチャトゥリアン)――金
- 六花亭 (4)エアロダイナミクス(デイヴィッド・ギリングハム)――銀
- NTT東日本東京 (3)吹奏楽のための交響的印象「海響」(和田薫)――金
職場の部はなんとも驚きの結果に。
ブリヂストン、ヤマハ、阪急の職場御三家がそろって銀賞という史上初の事態に。そんな時代になってしまったのですね。ヤマハは指揮者が代わったばかりだから、まだ実力を発揮し切れなかったのかもしれません。ブリヂストンは例によって朝弱いです。阪急は鈴木先生が逝去されてからは元気がないですね。
代わって金賞を独占したのが東西のNTT! やはり好景気の企業は違うのか。NTT西日本は緻密なアンサンブルで今年もため息が出るような演奏だったのでしょう。高値安定です。NTT東日本はたぶん1996年以来久しぶりの金賞ですね。六花亭の銀賞は大健闘だと思います。
職場は近い将来に一般の部と統合されるという話がありますが、10年前ならともかく、今の一般の部で太刀打ちできるのは、ブリヂストン、NTT西日本、ヤマハ浜松くらいでしょう。ブリヂストンとヤマハは55人編成枠を取っ払ったら凄い大編成になるので、その点どうサウンドが変わるのかは楽しみですが。職場には職場の雰囲気とか、味があると思うんですがね。殺伐としてなくて、余裕のある大人の演奏をいつまでも続けて欲しいんですが。
第54回全日本吹奏楽コンクール 一般の部
2006年10月29日 於:宇都宮市民会館
- 大津シンフォニックバンド (5)ウインドオーケストラのためのディテュランボス(高昌帥)――銀
- 松陽OB吹奏楽団「緑」 (1)バレエ音楽「白鳥の湖」より(チャイコフスキー)――銅
- 土気シビックウインドオーケストラ (5)組曲「惑星」より木星(グスタフ・ホルスト)――金
- アンサンブルリベルテ吹 (5)鳳凰が舞う(真島俊夫)――金
- J.S.B.吹 (3)交響組曲第1番より(天野正道)――銅
- 百萬石ウインドオーケストラ (3)「スペイン狂詩曲」より祭り(モーリス・ラヴェル)――銅
- 大曲吹奏楽団 (3)ゴシック(木下牧子)――金
- 浜松交響吹奏楽団 (5)交響組曲「ガイア」第2楽章(天野正道)――銀
- 川越奏和奏友会 (5)「祝典のための音楽」より(モートン・グールド)――金
- 東京正人吹奏楽団 (1)ウインド・ブリッツ(デレック・ブージョワ)――銀
- 横浜ブラスオルケスター (5)吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」より(高昌帥)――銀
- 倉敷市民吹グリーンハーモニー (3)「教会のステンドグラス」より(オットリーノ・レスピーギ)――銅
- 創価学会関西吹奏楽団 (1)科戸の鵲巣(中橋愛生)――金
- ウインドアンサンブル・ドゥ・ノール (3)「ハリウッド組曲」より(F・グローフェ)――銀
- 名取交響吹奏楽団 (1)シダス(トーマス・ドス)――銀
- BMSウインドアンサンブル (5)空中都市「マチュピチュ」(八木澤教司)――銅
3出休みがなく、空前の激戦となった一般の部。この部門に関してはもう賞とかあんまり関心がないんですが。
まあ印象基準にはなるわけで、OSBとか横浜ブラスが銀賞を取ってしまうレベルっていったい何なのかと。両方とも高昌帥の作品を演奏したわけですが、作品がつまらなかったわけではなくて、相対的に順位が下だったのでしょう。OSBも横浜ブラスも、銀賞の時の演奏も「これが銀賞!?」と思うくらい素晴らしいですからね。CDが楽しみです。昨年金賞の浜松交響吹も銀賞。こちらは天野ワールドをどれくらい発揮したかが気になります。「ガイア」完結編は3出明けまでお預けでしょうか。ドゥ・ノールの自由曲も注目です。なんでもスタンド・プレーや楽しいギミックがいっぱいの曲だったとか。DVDで見てみたかったけどね。
金賞団体では、土気シビックは昨年の雪辱を果たしましたね。昨年の精彩を欠いた音楽に、正直土気はもう駄目かと思ったんですが、相当練習を積んだのでしょう。本気の土気シビックの演奏、楽しみです。リベルテはオリジナルで3年連続金賞ですね。今最も勢いに乗っているバンドではないでしょうか。そして創価関西はOSBに代わって西の横綱認定でしょうか。ゆるぎない実力を持ったバンドだと思います。高校の部で金賞を受賞した春日部共栄の「科戸の鵲巣」と聴き比べするのも面白いかもしれません。そして東北の雄、大曲吹奏楽団は委嘱作品で2年連続金賞を達成! ここはしれっと演奏技術が凄いですからね。ほとんどミスがない。小塚ワールドが嵌った時は無敵です。
九州の2団体は残念ながら銅賞という結果に。九州大会を聴いた感じでは、今年は厳しいかなと思ってましたが、このメンツでは仕方がないですね。来年また素晴らしい演奏を聴かせてくれることに期待します。