第51回埼玉県吹奏楽コンクール 一般の部

この夏は関東におりまして、ちょっとだけコンクールも見に行きました。埼玉の一般です。結構前ですが。

第51回埼玉県吹奏楽コンクール 職場一般の部
8月8日(日) さいたま市文化センター

  1. 和光ウインドアンサンブル  3/「プリマヴェーラ」―美しき山の息吹き(八木澤教司)――銅賞
  2. 桶川市吹奏楽団  1/セント・アンソニー・ヴァリエーション(W・H・ヒル)――銅賞
  3. アルスノヴァ・ウインドシンフォニー  1/組曲火の鳥」より(I・ストラヴィンスキー)――銀賞
  4. 浦和吹奏楽団  4/愛の祭壇(井潤昌樹)――銀賞
  5. 与野吹奏楽団  2/歌劇「ばらの騎士」より(R・ストラヴィンスキー)――金賞・代表
  6. 越谷市吹奏楽団  1/交響詩「ローマの祭り」より(O・レスピーギ)―−―金賞
  7. 伊奈学園OB吹奏楽団  4/スピリテッド・アウェイ(久石譲)――金賞・代表
  8. 青木フィルハーモニー吹奏楽団  2/ウィンドオーケストラのためのマインドスケープ(高昌帥)――銀賞
  9. アンサンブルリベルテ吹奏楽団  3/エルガー・ヴァリエーション(M・エレビー)――金賞・代表
  10. あおぞらハーモニー吹奏楽団  2/狂詩曲「ジェリコ」(M・グールド)――銅賞
  11. 川越奏和奏友会吹奏楽団  5/バレエ音楽バッカスとアリアーヌ」第2組曲より(A・ルーセル)――金賞・代表
  12. ソールリジェール吹奏楽団  2/大いなる約束の大地〜チンギス・ハーン(鈴木英史)――金賞・代表
  13. 所沢市吹奏楽団  4/古祀(保科洋)――金賞・代表
  14. 本庄ウインドシンフォニカ  3/吹奏楽のための交響的ファンタジーハウルの動く城」(久石譲)――銅賞
  15. 飯能vivace wind orchestra  4/喜歌劇「天国と地獄」序曲(J・オッフェンバック)――銅賞
  16. 大宮吹奏楽団  3/組曲「ヴァレンシアの寡婦」より(A・オッフェンバック)――銅賞

時間の都合があって、ソールリジェールまでしか聴いてませんので、あしからず。
九州以外のコンクール県大会を聴くのは初めてだったんですが、せっかく夏の間関東にいるので、色々と聴けるのではないかと。ならばと思い全国的にも有名な団体も出場する埼玉の一般を覗きに行ってきました。
やはり全国金賞常連のアンサンブルリベルテ川越奏和奏友会は別格、という感じでしたが、どちらも課題曲に全力を注入している様子で、自由曲の魅力を伝えるまでには達していなかったように思いました。どちらの課題曲も絶品だったんですが、ちょっと調べてみたところ、課題曲3「うちなーのてぃだ」はあまり演奏している団体が少ないそうで、その少ない機会で感動的な演奏を披露してくれたリベルテに感謝です。他団体とは全く違う曲に聴こえました。アナリーゼの賜物だと思います。
一方の川越奏和の課題曲5「吹奏楽のためのスケルツォ第2番<夏>」も演奏団体少なくこちらもお得でした。初めて聴いたのですが、現代曲ながらも素晴らしく説得力のある構成を持った名曲だと感じました。従来の現代曲課題曲に比べると難解かとも思いますが、制御が難しそうなだけに識者の力量が問われると思います。佐藤正人のタクトは生き生きとして自然で、さすがだと思わせました。サックスやドラムも好演でした。
一方、両団体の自由曲はいまひとつでした。リベルテのエレビー「エルガー・ヴァリエーション」は、エレビーらしい華々しい強奏の多い曲でしたが、入り組んでいるだけにまだまだ未整理で何が言いたいのかよく分からない演奏でした。トロンボーンはミス?それとも楽譜通り? テュッティの迫力はありました。川越奏和の「バッカスとアリアーヌ」はたしか1993年に佐藤先生が野田中で演奏した曲ですが、正直まだ野田中に全く及んでいないと思いました。おそらく課題曲に時間を取られすぎて、自由曲の合奏時間がなかったのでしょう。
西関東常連の団体では、与野吹奏楽が素晴らしい演奏だったと思います。課題曲・自由曲共に表現の幅が広く、「オーディナリー・マーチ」の出だしの音だけでいままでの団体と次元が違ったと感じ取れました。自由曲「ばらの騎士」は、この曲の面白さをオーケストレーション豊かに演奏してくれました。サウンドが違ったと思います。この時点での総合的な出来では、リベルテ・川越奏和よりも上でしょう。
次いでソールリジェール、伊奈学園OBといったところですが、いずれも課題曲は無難以上のものでなく(無難な演奏というのもやろうとすると難しいものですが)、自由曲は曲の面白さを伝えきれない演奏であったと思います。いやむしろ、両団体の実力からするとこれ以上面白さを引き出せない、魅力の少ない、深みのない曲だったのではないか。伊奈学園OB吹奏楽の自由曲「スピリテッド・アウェイ」はつまり「千と千尋の神隠し」ですが、メリハリが出しにくい構成、ちょっと長すぎる単調なチェレスタ・グロッケン・デュオなど、美しい演奏でしたが感銘度は低かったです。
ソールリジェール吹奏楽の「チンギス・ハーン」はほとんど楽譜通りに吹けているんですが、躍動的なフレーズでも躍動感がなく、雄大なところでもあっさりしていて、音楽にのめりこめませんでした。指揮者の交替も影響しているのでしょうか。こちらも美しいのですが、全国に出てきたときのソールとはかけ離れた気の抜けた演奏でした。
全体として課題曲のほうが聴き応えがあり、自由曲はちょっと・・・という団体が多かったです。特に浦和吹奏楽の「汐風のマーチ」はアナリーゼの行き届いた絶品マーチ。まさに大人の演奏でした。自由曲は聴いていて恥ずかしさがこみ上げるメロドラマ曲で、なぜこの曲を選んだのか謎でした。桶川市吹奏楽も課題曲が良かった。他の「迷走するサラバンド」とは違って、単に迷走しているだけではなく、ストーリー性のある楽曲表現が見事でした。自由曲は勇み足というか、何とか吹ききっているのは見事でしたが・・・。青木ウインドハーモニーも課題曲のほうが良かったです。今流行の自由曲も出だしはよかったけど、ラストがちょっと、何か壊れたような音になってしまい残念でした。
その他の団体も聴いていてひどいというのはなくて、県大会としてはレベルが高かったのではないかと思います。ただ、上位が抜き出過ぎていて、後に続く団体が、特にサウンド面で見劣りしてしまいました。リベルテと川越奏和がなければ、福岡県大会とあまり変わらない(今はブリヂストンも一般に出てるので別格が存在するが)という印象。一般の部は全国均一で面白いですね。
西関東大会は9月19日だそうです。