土気シビックウインドオーケストラ「スター・ウォーズ」

スター・ウォーズ
スター・ウォーズ

土気シビックウインドオーケストラ9枚目のアルバム。アマチュア吹奏楽団の中でスタジオ録音にこだわってCDを出しつづけるほど体力のあるのはここだけだ。コンクール全国大会でも圧倒的な演奏で金賞をとりつづけていることが、アマチュアであるにもかかわらず一定の需要を得てCDを出しつづけられる理由だろう。

吹奏楽のための協奏的序曲(藤掛廣幸)
スター・ウォーズ・トリロジージョン・ウィリアムズ/D・ハンスバーガー編)
マリアの七つの悲しみ(樽屋雅徳)
シング・シング・シングルイ・プリマ/岩井直博)
アイ・ガット・リズムジョージ・ガーシュウィン/谷口英治)
栄光を超えて(保科洋)
ラザロの復活(樽屋雅徳)
永遠の!ディスコ・ヒット・メロディー(杉本幸一編)
パガニーニの主題による幻想変奏曲(ジェイムス・バーンズ)

土気シビックの魅力は何といってもその重厚かつ緻密なシンフォニック・サウンドにある。「スター・ウォーズ」ではそんな土気サウンドの魅力を満喫できるかと思われたが、「帝国のマーチ」ではユニゾンのメロディーが薄いし、「レイア姫のテーマ」は急ぎすぎてじっくり聴けないし、「森林の戦い」はテンポに乗り切れてないしで、ちょっといまいちだった。確実な演奏を心がけるあまりにこじんまりとしてしまったか。思うに土気シビックは合奏能力は凄いが、個々の奏者が持つテクニックは、それ単体としては鑑賞レベルに達していないのではないか。「メイン・テーマ」は壮大でよかった。
最近加養氏が猛烈プッシュの樽屋雅徳、「ラザロの復活」…昨年の全国大会では圧倒されたが、その後CDで何度も聴いたのでどうしても再録版は聴き劣りする。新作「マリアの七つの悲しみ」は「ラザロ」の続編ということでテーマや構成がそっくりだったが、そっくりだけにもう一工夫欲しかったところ。
今回のゲストはジャズ・クラリネット奏者の谷口英治氏。「スウィング・ガールズ」効果で最近よく聴くようになった「シング・シング・シング」は、バックが厚すぎる。ソロは本当にお見事。インプロヴィゼーションを楽しむなら「アイ・ガット・リズム」のほうが凄い。
このアルバムで一番いい演奏は「パガニーニ」だと思う。土気らしい、緻密なアンサンブルとシンフォニックなサウンドが十二分に引き出された演奏で、最近何度目かのバーンズ・ブームを迎えているきたろー的に満足です。やっぱりバーンズはいいなあ。