第51回東京都吹奏楽コンクール(高校の部)

約1年ぶりの更新です。
この間、生まれ育った九州を離れ、関東に住むことになりました。
1年前の記事を見ると、土気シビックのサマーコンサートに行ったことが書いてありますが、今年も行きました。先週に。相変わらずアットホームかつハイクオリティで素晴らしかったです。人数ちょっとまた増えたかな? 今度はちゃんとしたホールで聴きたいです。
それはともかく、今日は東京都大会本選(高校・中学)を聴きに行きました。会場は全ての吹奏楽ファン憧れの普門館であります。きたろーも初めて行きましたが、こりゃでかい。よく普門館の朝一は鬼門などと言われますが、実感しました。演奏はどれも大変立派で、堪能しました。ただレベル的には九州大会と大差ないかな。違うのは普門館で演奏できる生徒たちがうらやましいことですね。
高等学校の部
1.片倉高校 5/「交響曲」より(矢代秋雄)・・・金・代表
 全国大会でも金賞を取っている実力校の登場です。噂の馬場ダンス、初めて生で見ました。いろんな意味で凄いですね。大味な指揮に見えてアンサンブルが緻密なところが素晴らしいと思います。ただ、両曲通して朝一ならではの抜けの悪さとか、発音のミスがかなり散見されたのではらはらしました。自由曲は第2楽章などからも抜粋して珍しく、楽しませてもらいました。しかしホルンのミスもあり、終盤の緊張感もこの曲にしてはいまいちだったように感じました。それにしてもダイナミックな表現力は高校の部随一だったと思います。
2.立川高校 1/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より(ラヴェル)・・・銅
 この団体に限らず、課題曲1は第2主題のピアノ表現で萎縮してしまい、不安な気持ちにさせてしまいます。大ホールなこともあり、最後まで弱々しい響きでした。自由曲は奏者の技術的に無理があったのではないかと思います。
3.杉並高校 5/「ばらの騎士」より(R.シュトラウス)・・・金
 非常に美しいサウンドの学校です。音色、サウンド、表現、特にゆっくりとした部分の響きが極上で、自由曲はぴったりと奏したキャラクターにマッチしていました。課題曲の解釈も的確。鳴りが足りないのは朝早くのせいでしょうが、逆に優しさ、美しさでカバーしたところは素晴らしい。欲を言えばもっと出すところ出して積極的な表現が欲しいところですが、今後もこの路線を突き進んでほしいですね。
4.東海大菅生高校 4/「カヴァレリア・ルスティカーナ」より(マスカーニ)・・・銀
 練習量の豊富さを思わせる確実な演奏でした。金管がよく鳴ります。ただ、課題曲はちょっと硬すぎて、ベタ吹きというか表情のないサウンドでした。自由曲は一転して積極的な表現で、全国大会の名演に比べると色彩感は落ちるものの、曲の魅力を十分に客席に伝える熱演でした。
5.修徳高校 5/「中国の不思議な役人」より(バルトーク)・・・銀
 課題曲冒頭のティンパニがずしんと響いたのはこの団体が最初だったでしょうか。ただ楽器本来の音色をあまり出せていないように感じ、全体として音が細いように思いました。自由曲は立川高校と同じく、やや背伸びしすぎたかな…と。トロンボーンソリは良く頑張っていました。
6.小山台高校 2/舞楽(グランサム)・・・銅
 がむしゃらな熱気ある指揮はアマチュア吹奏楽の魅力ですが、奏者がついていけなければどうもちぐはぐに見えます。個々の奏者の演奏技術を磨くことが課題でしょうか。グランサムの曲は私も好きなんですが、響きにくいのでコンクールでは難しいと思います。最後のフレーズでようやくグランサムらしい技巧的な面白さが伝わりました。
7.江戸川女子高校 5/「マノン・レスコー」より(プッチーニ)・・・銀
 アンサンブルにはまだ未整理なところはありますが、金管木管が独特に融合した柔らかいサウンドがとても魅力的で、終始引き込まれました。特に自由曲の流れるような音楽は極上だと思います。女子高ならでは・・・というとジェンダー的に問題があるのであまり言いませんが、表情豊かな表現が良かったです。
8.日本大豊山高校 5/シダス(ドス)・・・銅
 前の団体が女子高だっただけに、今度は男子校でコントラストが面白かったです。楽器の音色がたくましくてよかったと思います。自由曲は吹けていないところやミスが多くて今一つ。もっと確実に吹く練習を積み重ねて、ミスを少なくすれば上位の成績を狙えたのではないでしょうか。
9.玉川学園高等部 2/吹奏楽のための「アダージョ」(伊藤康英)・・・銀
 往年の名門であります。人数がやや少なかったが、音色や合奏技術はとても安定していました。トランペットがやや技術的に物足りなかったかな?木管はきれいですね。それだけに自由曲ソロでの赤ちゃんの泣き声はかわいそうでした。なんで幼児入場禁止にしないのでしょうか? それはともかく、自由曲は初めて聴きましたが「アダージョ」といいつつ変化の激しい曲で面白かったです。
10.明治大明治高校 5/パガニーニの主題による狂詩曲(ラフマニノフ)・・・銅
 指揮者がとても立派な指揮で、安心して見ていられました。ただそれに奏者の技量が追い付いておらず、上手く積極的な音色を引き出されていないように思いました。サウンドレーニングがまだできていないのでしょうか。プログラム後半に差し掛かったにもかかわらずほとんど音が飛んできませんでした。
11.駒沢大高校 5/「スペイン狂詩曲」より(ラヴェル)・・・金
 素晴らしい音色とサウンドです。超高校級の響きがしました。サウンドだけなら全国金でしょう。これに表現が伴わないのが何とも残念です。素人目ながら両曲ともテンポが遅いし、安全運転で起伏が少なく、せっかくの極上サウンドが全体として見れば無個性で何ともつまらない演奏になっていました。
12.東海大高輪台高校 5/「イーストコーストの風景」より(ヘス)・・・金・代表
 ここは本当に上手ですね。減点のほとんどない、文句のつけようもない演奏だったと思います。あとは好みの問題で、私としては金管がもっとシャープに聴こえてきてほしかったなあと思いました。イーストコーストでもTpがやや安全運転で、スパーンと来ない。山形大学のようなノリノリのイーストコーストを期待する私にはまったく物足りません。それからニューヨークがズタズタカットで、盛り上がりに欠けました。これなら第1楽章をカットしたほうがいい。サイレンも唐突でした。好きな曲だけに辛口になりましたが、多分今日の演奏の中では一番得点が高いのではないでしょうか。上手な演奏でした。
高校はやや低調かな。どちらかというと中学の方が凄かった。
その中学はまた後日。