第51回東京都吹奏楽コンクール(中学校の部)

 9月11日(日) 於:普門館

 更新がだいぶ遅れましたが、覚えている限り中学校の部の感想も書いておきましょう。代表になった2校はじめ金賞団体の多くについては高校の代表よりも素晴らしい演奏だったという印象でした。他の団体も総じてレベルが高く、中学校に関しては九州大会よりも熾烈な争いだと思いました。
1.青梅市立第三中学校 4/「シンフォニー・ポエム」(ハチャトゥリアン)・・・銀賞
 のっけからよい音楽を聞かせてくれました。課題曲の方は覚えていませんが、自由曲は難曲に果敢に挑んだ好演だったと思います。前半の木管の32分音符?が続くところは機械的過ぎてちょっと音楽性に欠けましたが、後半のサウンドは曲を大いに盛り上げてくれました。
2.玉川学園中学部 3/無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番(バッハ)・・・金賞
 ここから4連続の課題曲3。プログラムを見て驚いたのは、課題曲自由曲ともにシャコンヌ旋法の音楽で、中学生にこれらを持続して表現できるのか!?ということでした。ところがこの学校はすばらしく音楽的な表現力をもっており、ぐいぐいと引き込まれてしまいました。ここまで聞いた課題曲3のなかで全部門一番の出来だったといえましょう。そして自由曲はその表現力をさらに開花させた荘厳な演奏でした。このように地味ながら音楽性の高い楽曲を中学生に存分に理解させ、長い練習の中でだれることなく音楽を完成させていった先生に敬意を表します。
3.武蔵野市立第三中学校 3/竹取物語三善晃)・・・銅賞
 課題曲は平凡だったものの、破たんのない良い演奏でした。自由曲は難曲をよく演奏していましたが、まだ表現をするまでには至らなかったかな? 物語性のある現代音楽を表現するには技術がもう一つ。でも期待以上の出来でした。
4.足立区立第十四中学校 3/バトル・オブ・ブリテンウォルトン)・・・金賞
 この演奏には本当に驚かされました。これまで全部門通して聴いてきた中で、木管金管がここまで極上にブレンドしたサウンドは初めてでした。そのサウンドが課題曲3というじっくりと聞かせる楽曲と実によくマッチしており、終始聞いていて耳が幸せになりました。玉川学園中の演奏を聴いたとき、課題曲3は玉川が一番だなと思ったのですが、早くも更新されてしまいました。自由曲もまた極上のサウンドをこれでもかと繰り出し、耳が幸せでしたが、マイルドすぎて戦闘の場面の激しさを表現するまでには至らなかったのが残念。エンディングは感動的で、いつまでもこの団体の演奏を聴いていたい、そんな気持ちにさせてくれました。私はここが代表でも良かったと思いました。
5.小平第六中学校 3/ディオニソスの祭り(シュミット)・・・金賞
 ここも破たんのない素晴らしいシャコンヌを聞かせてくれましたが、足立14の演奏を聴いた後ではやはり少々の和音の乱れが目立ってしまいます(もっとも、すべての和音がノイズなく完璧に響き渡ったシャコンヌは全部門通じて足立14だけでしたが)。自由曲は難曲を見事に吹き切り、中学生としては見事な演奏です。ところで、鈴木英史編曲版のディオニソスが出版されたのですね。従来ギャルド編成を各学校が工夫して楽器を移し替えていたのを、ちゃんと吹奏楽版としてできるようになったのは素晴らしいことですね。トロンボーンからユーフォニウムに持ち替えていた子、とても深い音色で素晴らしい演奏でした。
6.町田市立南中学校 1/陽が昇るとき(高昌帥)・・・銀賞
 人数が少ない中でとてもよく頑張っていました。特に自由曲は大変スタミナのいる曲ですが、最後まで破たんなく吹き切り、良かったです。サウンドのまとまりが上位校に比べると悪く、ホールに十分に響かず音楽的メッセージが観客まで伝わらないのが残念でした。
7.板橋区立桜川中学校 1/白墨の輪へのオマージュ(福島弘和)・・・銅賞
 ちょっと、この演奏についてはあまり覚えていません。ごめんなさい。
後半7団体はまた後日アップします。

第51回東京都吹奏楽コンクール(高校の部)

約1年ぶりの更新です。
この間、生まれ育った九州を離れ、関東に住むことになりました。
1年前の記事を見ると、土気シビックのサマーコンサートに行ったことが書いてありますが、今年も行きました。先週に。相変わらずアットホームかつハイクオリティで素晴らしかったです。人数ちょっとまた増えたかな? 今度はちゃんとしたホールで聴きたいです。
それはともかく、今日は東京都大会本選(高校・中学)を聴きに行きました。会場は全ての吹奏楽ファン憧れの普門館であります。きたろーも初めて行きましたが、こりゃでかい。よく普門館の朝一は鬼門などと言われますが、実感しました。演奏はどれも大変立派で、堪能しました。ただレベル的には九州大会と大差ないかな。違うのは普門館で演奏できる生徒たちがうらやましいことですね。
高等学校の部
1.片倉高校 5/「交響曲」より(矢代秋雄)・・・金・代表
 全国大会でも金賞を取っている実力校の登場です。噂の馬場ダンス、初めて生で見ました。いろんな意味で凄いですね。大味な指揮に見えてアンサンブルが緻密なところが素晴らしいと思います。ただ、両曲通して朝一ならではの抜けの悪さとか、発音のミスがかなり散見されたのではらはらしました。自由曲は第2楽章などからも抜粋して珍しく、楽しませてもらいました。しかしホルンのミスもあり、終盤の緊張感もこの曲にしてはいまいちだったように感じました。それにしてもダイナミックな表現力は高校の部随一だったと思います。
2.立川高校 1/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より(ラヴェル)・・・銅
 この団体に限らず、課題曲1は第2主題のピアノ表現で萎縮してしまい、不安な気持ちにさせてしまいます。大ホールなこともあり、最後まで弱々しい響きでした。自由曲は奏者の技術的に無理があったのではないかと思います。
3.杉並高校 5/「ばらの騎士」より(R.シュトラウス)・・・金
 非常に美しいサウンドの学校です。音色、サウンド、表現、特にゆっくりとした部分の響きが極上で、自由曲はぴったりと奏したキャラクターにマッチしていました。課題曲の解釈も的確。鳴りが足りないのは朝早くのせいでしょうが、逆に優しさ、美しさでカバーしたところは素晴らしい。欲を言えばもっと出すところ出して積極的な表現が欲しいところですが、今後もこの路線を突き進んでほしいですね。
4.東海大菅生高校 4/「カヴァレリア・ルスティカーナ」より(マスカーニ)・・・銀
 練習量の豊富さを思わせる確実な演奏でした。金管がよく鳴ります。ただ、課題曲はちょっと硬すぎて、ベタ吹きというか表情のないサウンドでした。自由曲は一転して積極的な表現で、全国大会の名演に比べると色彩感は落ちるものの、曲の魅力を十分に客席に伝える熱演でした。
5.修徳高校 5/「中国の不思議な役人」より(バルトーク)・・・銀
 課題曲冒頭のティンパニがずしんと響いたのはこの団体が最初だったでしょうか。ただ楽器本来の音色をあまり出せていないように感じ、全体として音が細いように思いました。自由曲は立川高校と同じく、やや背伸びしすぎたかな…と。トロンボーンソリは良く頑張っていました。
6.小山台高校 2/舞楽(グランサム)・・・銅
 がむしゃらな熱気ある指揮はアマチュア吹奏楽の魅力ですが、奏者がついていけなければどうもちぐはぐに見えます。個々の奏者の演奏技術を磨くことが課題でしょうか。グランサムの曲は私も好きなんですが、響きにくいのでコンクールでは難しいと思います。最後のフレーズでようやくグランサムらしい技巧的な面白さが伝わりました。
7.江戸川女子高校 5/「マノン・レスコー」より(プッチーニ)・・・銀
 アンサンブルにはまだ未整理なところはありますが、金管木管が独特に融合した柔らかいサウンドがとても魅力的で、終始引き込まれました。特に自由曲の流れるような音楽は極上だと思います。女子高ならでは・・・というとジェンダー的に問題があるのであまり言いませんが、表情豊かな表現が良かったです。
8.日本大豊山高校 5/シダス(ドス)・・・銅
 前の団体が女子高だっただけに、今度は男子校でコントラストが面白かったです。楽器の音色がたくましくてよかったと思います。自由曲は吹けていないところやミスが多くて今一つ。もっと確実に吹く練習を積み重ねて、ミスを少なくすれば上位の成績を狙えたのではないでしょうか。
9.玉川学園高等部 2/吹奏楽のための「アダージョ」(伊藤康英)・・・銀
 往年の名門であります。人数がやや少なかったが、音色や合奏技術はとても安定していました。トランペットがやや技術的に物足りなかったかな?木管はきれいですね。それだけに自由曲ソロでの赤ちゃんの泣き声はかわいそうでした。なんで幼児入場禁止にしないのでしょうか? それはともかく、自由曲は初めて聴きましたが「アダージョ」といいつつ変化の激しい曲で面白かったです。
10.明治大明治高校 5/パガニーニの主題による狂詩曲(ラフマニノフ)・・・銅
 指揮者がとても立派な指揮で、安心して見ていられました。ただそれに奏者の技量が追い付いておらず、上手く積極的な音色を引き出されていないように思いました。サウンドレーニングがまだできていないのでしょうか。プログラム後半に差し掛かったにもかかわらずほとんど音が飛んできませんでした。
11.駒沢大高校 5/「スペイン狂詩曲」より(ラヴェル)・・・金
 素晴らしい音色とサウンドです。超高校級の響きがしました。サウンドだけなら全国金でしょう。これに表現が伴わないのが何とも残念です。素人目ながら両曲ともテンポが遅いし、安全運転で起伏が少なく、せっかくの極上サウンドが全体として見れば無個性で何ともつまらない演奏になっていました。
12.東海大高輪台高校 5/「イーストコーストの風景」より(ヘス)・・・金・代表
 ここは本当に上手ですね。減点のほとんどない、文句のつけようもない演奏だったと思います。あとは好みの問題で、私としては金管がもっとシャープに聴こえてきてほしかったなあと思いました。イーストコーストでもTpがやや安全運転で、スパーンと来ない。山形大学のようなノリノリのイーストコーストを期待する私にはまったく物足りません。それからニューヨークがズタズタカットで、盛り上がりに欠けました。これなら第1楽章をカットしたほうがいい。サイレンも唐突でした。好きな曲だけに辛口になりましたが、多分今日の演奏の中では一番得点が高いのではないでしょうか。上手な演奏でした。
高校はやや低調かな。どちらかというと中学の方が凄かった。
その中学はまた後日。

タバコやめました

 巷では明日から史上最大のタバコ値上げだそうですが、きたろーは15年間お付き合いいただいたタバコをこの7月にスッパリとやめました。ええ、それはもうスッパリと。
 以前は我々は健康主義者の画一化に反対とか、禁煙ファシズムには屈しないぞとか、この健康帝国ナチスめとか、いろいろ言っていたものですが、人間やろうと思えばできるもんです。
 皆さんもやめたいと思っている人は、これを期に意志を持ってやめましょう。本気出せば割と簡単にやめられますよ。

健康帝国ナチス

健康帝国ナチス

赤川次郎『三毛猫ホームズの怪談』&『騎士道』

 だいぶ前に読み終えていたんですが、レポが遅くなりました。『怪談』がシリーズ3作目(1980年)、『騎士道』は8作目(1983年)ですね。

三毛猫ホームズの怪談 (角川文庫 (5784))

三毛猫ホームズの怪談 (角川文庫 (5784))

 『三毛猫ホームズの怪談』は、ニュータウンに残った「猫屋敷」をめぐる連続殺人。昔読んだときは化け猫のくだりなど結構ゾクッとしたもんですが、今読むと何も感じないですね。トリックは何ということもなく問題外で、雰囲気で読ませるミステリですかね。ところで片山刑事って女性恐怖症という触れ込みですが、毎回美人にモテモテですね。草食系男子が肉食系女子にあわや食われるというのがおかしみを感じさせるのでしょう。時代を30年くらい先取りした素晴らしいキャラクター付け・・・と思っているわけでは断じてありません。(★☆)
三毛猫ホームズの騎士道 (角川文庫)

三毛猫ホームズの騎士道 (角川文庫)

 一方、『三毛猫ホームズの騎士道』はドイツを舞台とした中世ヨーロッパの雰囲気漂わす「館もの」のミステリですね。そもそも登場人物たちが狙われているのが分かっているのにのこのことドイツくんだりまでやってくるあたりが謎ですが、それは置いておいて、この作品はなかなか本格ミステリとして評価できそうな作品ではないかと思いますね。
 しばしばミステリで見られる手法が用いられていて、クローズド・サークルだけに疑心暗鬼に刈られる登場人物たちをよそに、一見明白な犯人像の影に「意外な犯人」を用意しておく感じで、効果を上げています。まだるっこしいので反転でネタバレしてしまうと、容疑者をあらかじめ死んだように見せかけて舞台から退場させておいて、自由に行動させる「バールストン・ギャンビット」ですね。しかし、最後のどんでん返しを成立させる「鉄の処女」の謎があんまりだったのでちょっと脱力か。(★★★)
 しばらく赤川次郎を読もうかと思っていたんですが、わずか4作にして飽きました。『騎士道』だけは違いますが、それ以外は全部同じような登場人物と事件と雰囲気。無駄に人は死ぬし刑事も死ぬのにユーモア・ミステリーゆえのライトな雰囲気に違和感あります。男女関係のドラマもベタだし、これを何作も続けて読むのはちょっとつらい。
 第一作の『推理』はいいんですよ。猫が探偵という斬新なアイデアがものめずらしいし、密室トリックも豪腕が効いてて面白い。でもその後は飽きる。これは私の思い込みだったんですが、三毛猫ホームズって、ホームズの何気ないしぐさや行動を見た片山が真相に気づくという形式で、ホームズが本当に真相を推理しているかどうかは猫ゆえに分からない、というものだと思っていました。しかし、改めて読んでみるとホームズは完全に人々の会話を理解し、事件の全貌をほぼ喝破したうえで、はっきりと片山に真相を教えようと振舞っています。これは猫であるホームズが人間の言葉を完全に理解していなければ、そして片山すら知らないような事件の裏事情を知っていなければできない芸当です。三毛猫ホームズはただしゃべれないだけの、神のごとき猫であります。よってこのシリーズはファンタジーだといえます。そういった点も私にはつらいところでした。
 なぜ、赤川次郎や西村京太郎や内田康夫はあれだけ売れているのか、熱心な(?)読者を獲得し続けているのか、マニアックな本格しか呼んでいないままでは永遠に分からないその謎を解き明かすべく、赤川次郎にとりあえず取り掛かってみたのですが、謎は解けないまま限界を迎えました。少し間をおいて、西村京太郎でも読んでみようかと思います。

土気シビックウインドオーケストラ・サマーコンサート

 地元土気で行われた土気CWOの演奏会に行ってきました。土気シビックといえばコンクール全国大会常連の有名吹奏楽団ですが、ここ2年はコンクールに出場していないので、どうなっているのか気になってました。確か一般の人数制限に反対で出場しない、ということだったのではないかと聞いたことがあります。何にしてもあのとろけるようなサウンドは忘れられませんよね。
 で、その土気シビックが地元土気で演奏会をするというので、今は近くにいるので行ってきました。プログラムは以下のとおり。

土気シビックウインドオーケストラ サマーコンサート
2010年9月5日(日) 於:あすみが丘プラザ
第1部

  1. 行進曲「威風堂々」第1番(E・エルガー
  2. 青春の輝き(R・カーペンター)
  3. 歌劇「ローエングリン」より エルザの大聖堂への行列(R・ワーグナー
  4. 祝典のための音楽(F・スパーク)

第2部

  1. サンバ・エキスプレス(真島俊夫
  2. 口笛吹いて働こう<パート紹介>(L・モーレイ/F・チャーチル
  3. サザンオールスターズ・メドレー(桑田圭祐/杉本幸一編)
  4. テキーラ(C・リオ)
  5. 手紙〜拝啓 十五の君へ<合唱>

アンコール

  1. ふるさと
  2. 星条旗よ永遠なれ(J・P・スーザ)

 第1部の指揮は小松拓人さん。小松さんの指揮はシンプルで伝わりやすそうですね。時折加養さんのような「ピクッ」とした棒が見られます。「威風堂々」からとにかく金管セクションが素晴らしい。トランペットの音色が伸びやかですね。「青春の輝き」はサックス・ソロ。美しかったです。エルザはもう、何というか言葉の出ない感動的な演奏でした。フルート・ソリも良かったですが、終盤のテュッティでは会場中に荘厳なサウンドが響き渡りました。会場は体育館なので、コンサートホールのように響くわけではなくデッドなんですが、それでもこれだけ美しい響きに満たされるのですから、いかに元から響きを大切にしているかが分かります。「祝典のための音楽」、第1楽章のトロンボーンが超絶技巧をしっかり吹きこなしているのが印象的でした。
 第2部の指揮はおなじみ加養浩幸さん。ポップスの指揮でも加養さんの大胆かつ繊細な棒は変わりないですね。「サンバ・エキスプレス」は真島さん編曲の「宝島」っぽい難しそうなソリが印象的ですね。続いてパート紹介。ファミリー・コンサートらしく各楽器の特徴を「口笛吹いて働こう」のアンサンブルと共に分かりやすく紹介していきます。中低音パートが素晴らしく上手でした。「サザン・メドレー」は「TSUNAMI」の絶品のサウンドに感動、「勝手にシンドバット」の強烈なホルンの音色に目が離せませんでした。
 ここからは地元の土気南中学校と土気大椎中学校との生徒さんとの合同演奏。「テキーラ」はノリノリ、「手紙」は生徒さんと団員の合唱で、バラエティ豊かでした。おそらく普段部員も少なく、これだけの大人数で、そして日本を代表する実力派バンドの奏者と一緒に演奏できて、中学生の皆さんにとって素晴らしい経験になったのではないかと思います。うらやましいですね。
 アンコールは唱歌の「ふるさと」を会場皆で合唱。これは感動的でした。私も久しぶりに歌って気持ちよかったです。伴奏、というか演奏のラストがこの日一番のサウンドで、そのテュッティの一音で心が震えるほどでした。最後に「星条旗よ永遠なれ」のポップスバージョン。私も演奏したことありますが、これ結構難しい編曲ですよね。中学生もよくついていっていて、上手でした。大いに盛り上がり、演奏会を締めくくりました。
 聞いていて思ったのが、全国大会レベル、とは言わないまでもこのまま地区大会に出場しても金賞を取ってしまうであろう、極めて高いレベルの演奏が維持されていたことです。このメンバーで音楽ができる喜びが続いているからこそ、コンクールには出ないけど、これだけの演奏ができるのだと思います。そして地域密着型の演奏会の楽しさを満喫できました。会場が狭く、座席は足りずに狭い思いもしたのですが、地域の老若男女問わず全ての聴衆が演奏会を楽しんでいました。一般バンドはかくあるべし、と感服です。素晴らしいひと時でした。

宮本輝紀氏逝去

吹奏楽の名門、洛南高校の前顧問・宮本輝紀氏が9月1日にお亡くなりになったそうです。あまりしっかりしたソースがないのですが、ブレーンのブログ、TBTさんの掲示板、2ch吹奏楽板に書いてありました。享年69歳、洛南高校勇退されてからわずか4年、あまりにも早い死に残念な思いでいっぱいです。
洛南高校は京都でも有数の進学校にして男子校。部活動の盛んなことでも知られますが、一般的には女子ばかりの吹奏楽だけに洛南の吹奏楽部は人数が少なく、しかも初心者ばかりと来ています。それにもかかわらず、全国大会の常連にまで育て上げた宮本先生の熱意と力量には驚かされます。
人数が少ないので、コンクールにはいつも30数名〜40人程度で出場、持ち替えが当たり前で、サックス奏者がトランペットを吹き、チューバ奏者がフルートを吹き、クラリネット奏者が打楽器を叩くというアクロバティックな演奏スタイルで人気を博しました。それで演奏が破綻しないのが凄い。
宮本先生+洛南高校の名演としては、何といっても1992年の「華麗なる舞曲」でしょう。吹奏楽最難曲にもかかわらず力強さに溢れ、素晴らしく勢いのある演奏に度肝を抜かれました。普門館を揺るがす大歓声がこの演奏の素晴らしさを物語っています。
生徒たちのきびきびとして責任感を持った行動、宮本先生の厳しくも優しいまなざしは、「吹奏楽の旅」で垣間見ることができました。交響曲第1番「ギルガメッシュ」の指揮の様子に対して、スタジオのゲストが「先生が翼を広げて羽ばたいているようだ」と表現していたのを思い出します。
心よりご冥福をお祈りいたします。

第51回埼玉県吹奏楽コンクール 一般の部

この夏は関東におりまして、ちょっとだけコンクールも見に行きました。埼玉の一般です。結構前ですが。

第51回埼玉県吹奏楽コンクール 職場一般の部
8月8日(日) さいたま市文化センター

  1. 和光ウインドアンサンブル  3/「プリマヴェーラ」―美しき山の息吹き(八木澤教司)――銅賞
  2. 桶川市吹奏楽団  1/セント・アンソニー・ヴァリエーション(W・H・ヒル)――銅賞
  3. アルスノヴァ・ウインドシンフォニー  1/組曲火の鳥」より(I・ストラヴィンスキー)――銀賞
  4. 浦和吹奏楽団  4/愛の祭壇(井潤昌樹)――銀賞
  5. 与野吹奏楽団  2/歌劇「ばらの騎士」より(R・ストラヴィンスキー)――金賞・代表
  6. 越谷市吹奏楽団  1/交響詩「ローマの祭り」より(O・レスピーギ)―−―金賞
  7. 伊奈学園OB吹奏楽団  4/スピリテッド・アウェイ(久石譲)――金賞・代表
  8. 青木フィルハーモニー吹奏楽団  2/ウィンドオーケストラのためのマインドスケープ(高昌帥)――銀賞
  9. アンサンブルリベルテ吹奏楽団  3/エルガー・ヴァリエーション(M・エレビー)――金賞・代表
  10. あおぞらハーモニー吹奏楽団  2/狂詩曲「ジェリコ」(M・グールド)――銅賞
  11. 川越奏和奏友会吹奏楽団  5/バレエ音楽バッカスとアリアーヌ」第2組曲より(A・ルーセル)――金賞・代表
  12. ソールリジェール吹奏楽団  2/大いなる約束の大地〜チンギス・ハーン(鈴木英史)――金賞・代表
  13. 所沢市吹奏楽団  4/古祀(保科洋)――金賞・代表
  14. 本庄ウインドシンフォニカ  3/吹奏楽のための交響的ファンタジーハウルの動く城」(久石譲)――銅賞
  15. 飯能vivace wind orchestra  4/喜歌劇「天国と地獄」序曲(J・オッフェンバック)――銅賞
  16. 大宮吹奏楽団  3/組曲「ヴァレンシアの寡婦」より(A・オッフェンバック)――銅賞

時間の都合があって、ソールリジェールまでしか聴いてませんので、あしからず。
九州以外のコンクール県大会を聴くのは初めてだったんですが、せっかく夏の間関東にいるので、色々と聴けるのではないかと。ならばと思い全国的にも有名な団体も出場する埼玉の一般を覗きに行ってきました。

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