なにわ《オーケストラル》ウインズ2005

なにわ《オーケストラル》ウィンズ2005(通常版)

  • 指揮:丸谷明夫、牧野耕也
  • 演奏:なにわ《オーケストラル》ウインズ
  • 販売:ブレーン

毎年恒例の企画第3弾。昨年の演奏を聴いてこのバンドの底知れない可能性に驚愕したものだが、今年もかなり期待して買いました。

イギリス民謡組曲(「海の歌」入り) (ラルフ・ヴォーン=ウィリアムズ)
ゲールフォース (ピーター・グレアム)
フランス組曲 (ダリウス・ミヨー吹奏楽のための「神話」〜天岩屋戸の物語による (大栗裕)
映画音楽「オーロラ」より (スティーヴン・メリロ)
オーメンズ・オブ・ラブ (和泉宏隆真島俊夫編)
マツケンサンバ (宮川彬良

はっきりしているのは、今年の演奏は去年に比べて出来が悪い、ということ。もちろん個々の音色やテクニックは素晴らしいのだが、昨年に比べると吹奏楽の響きが完成されていません。とりわけトランペットの一人の音が汚く、全体に溶け込んでいないのが残念。一方で中低音域とサックス群は相変わらず素晴らしい。クラリネットはやや音が弱く感じました。オーケストラ奏者なのでソリスティックになるのは当然ですが、昨年はもっと全体の圧倒的な響きの中で高らかに鳴り響く木管が聴けたものです。
要するに今年の《なにわ》はアンサンブルとサウンド作りに意識が行っていないということに尽きると思います。
以上のことを踏まえた上で、一番出来が良かったのは「イギリス民謡組曲」だと思います。「フランス組曲」も良かった。とにかく各ソロが丁寧で上手なうえに、上品ながらも牧歌的な音楽作りが成功しています。ただこの2曲については故フェネル氏の名演奏があるので、それに比べると表現面に不満が残ります。
新しめの曲。「ゲールフォース」も「オーロラ」も、表現が平板で伝わるものが何もない演奏だったと思います。指揮者の理解不足も一因ではないでしょうか? 古典に比べると新しい曲はずいぶん粗略に扱われているような・・・。
「神話」はもっとリズム感があってシャープな方がきたろーの好みですが、これはこれで味のある演奏ではないでしょうか。
アンコールの2曲もリズムが悪い。ポップスだと思って適当に吹いてませんか?
昨年の出来があまりにも良かったので、その記憶を残したまま聴くと上のような感想になってしまいました。私が《なにわ》に求めるのはもっと高品質の吹奏楽です。来年にまた期待したいと思います。
ボーナス・トラックの課題曲については、今年の課題曲の所感とともに次回で。