ヨアヒム・フェスト『ヒトラー 最期の12日間』

ヒトラー 最期の12日間

ヒトラー 最期の12日間

同盟映画の原作というか参考文献で、映画を見る前に読んでみました。岩波書店も遂にこんな本を出すようになったか。「ヒトラーを普通の人間として描いた」ことで賛否両論著しい映画の原作なのにねえ・・・。などと思いましたが、読んでみるとそこまで人間的ではない。というかベルリン市民ひどいことになってるし、カタストロフィーを招いたのはヒトラーの決断だし、さらにひどいことにしたのもボケが入って妄想狂になった末期ヒトラーの決断の結果だし。
読み物としては面白いです。ただ、ナチスヒトラーの異常性が伝わりにくくなっていることは事実。分かりやすいのはホロコーストについて一言も述べられていない点ですが、結局「最期の12日間」だけを描いて歴史家が何を伝えたいのか、という問題なのかもしれません。