第21回福岡県吹奏楽コンクール・大学の部

聴きに行きました。3年ほど前から九州の大学の部でも予選での選考が導入されて、県大会も聴き応えが高まったと思います。以下、プログラム順に団体名、曲目、結果、簡単なコメントを。
1.西南学院大学 III/巴里の幻影(真島俊夫)・・・銀
トップ・バッターということで緊張感もあったのでしょうか。音がほとんど客席に届きませんでした。全体として音色に魅力がなく、サウンド作りにまで配慮が行っていません。自由曲はもっと色彩感が必要かと。
2.北九州大学 II/ハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲(コダーイ)・・・銀
思い切りのいいサウンドには魅力がありますが、合奏ということになるとまとまりがなく、雑に聴こえました。特に音の処理がまずい。音の出だしははっきりしているのに適当に聞こえてもったいない。もっと周りの音を聴くべし。
3.近畿大学産業理工学部 III/祝典序曲「祈りは時の流れに輝く」(福島弘和)・・・銀
小編成の上に木管が極端に少ない偏った編成にもかかわらず、金管のバランス感覚が優れているので聴きやすかったのがよかったです。ただ、唯一のクラリネットのピッチがずれていたのが残念。
4.九州共立大学 IV/ファンファーレ、バラード・アンド・ジュビリー(C・T・スミス)・・・銀
銀賞の中では最も合奏能力に優れていました。聴かせるのが難しいIVをうまいアナリーゼで流麗に聴かせました。課題曲は良かったのですが、自由曲は木管の細かい動きが聴こえにくく、華やかさを欠いていました。ホールのせいもあるかもしれません。代表でも不思議ではない演奏でした。
5.久留米工業専門学校 III/天空への挑戦(R・W・スミス)・・・銅
残念ながら、個々の技術の上でも合奏能力の上でも、プログラム中最もレヴェルの低い演奏だったと思います。
6.福岡教育大学 II/「シンフォニア・タプカーラ」より第1楽章(伊福部昭)・・・金・代表
出だしから格の違う、頭一つ抜き出た演奏だったと思います。さらに上を目指すためにコメントすると、中低音のサウンドビルが不十分で響きが薄いと思いました。課題曲は自由曲の性格を引きずったのか、あるいは技術が安定しているので落ち着きすぎたのか音色が暗いです。自由曲は伊福部昭の特長とも言うべき強烈なリズム感と土俗的なサウンドがほとんど聴かれませんでした。クライマックスの作り方も含めて、もっと楽曲を研究しましょう。
7.九州産業大学 II/「組曲 作品14」より1・2・3(バルトーク)・・・金・代表
35人という小編成にもかかわらず、福教大とは対照的に楽曲の特性を演奏し分けたすばらしい演奏だったと思います。特にバルトークは、音の一つ一つに奏者の気持ちがこもっていたのが客席まで伝わりました。これ以上の演奏を望むためにはもっと個人の音色の向上が必要なので、とても大変な夏になると思いますが、がんばってください。
8.福岡大学 II/ファンファーレ・シンフォニック(天野正道)・・・金・代表
どうしたことでしょうか。福岡大学の演奏としては、これまでにないほど音やサウンドに自信がなく、奏者の不安が客席まで届いてしまってました。指揮者の的確な音楽作りに支えられて何とか格好は整っていましたが、最後まで安定した音楽を聴くことができませんでした。自由曲は委嘱作ですが、曲の性格がころころと変わる音楽なので、音色のヴァリエーションや多彩な音楽表現を身につける必要があると思います。


明日は一般・大学の部ですが、熊本県大会を聴きに行く予定なので、残念ながら福岡のほうは聴きに行くことができません。代表団体には九州大会でさらに洗練された音楽を期待しています。