【訃報】高橋紘一氏死去

http://www.asahi.com/obituaries/update/0802/003.html
アサヒ・ドットコムの記事では「秋田県吹奏楽連盟会長の高橋紘一さん死去」という見出しですが、吹奏楽ファンにとっては「秋田南高校吹奏楽部を率いて5年連続金賞の栄誉に輝いた高橋紘一先生」というほうがしっくり来るのではないかと思います。
高橋紘一指揮・秋田南高校吹奏楽部の全国大会での軌跡については、おがりんさんがまとめて下さっているので、そちらをご参照ください。
その素晴らしい演奏はCDで今も聴くことが出来ます。
レジェンダリーコレクションズ 秋田南高等学校吹奏楽部・指揮:高橋紘
高橋紘一&秋田南高校が日本の吹奏楽界にもたらした功績に簡単に触れておきます。なんといっても5金時代に一世を風靡した、一連のストラヴィンスキー&邦人管弦楽作品が挙げられます。矢代秋雄交響曲三善晃の交響三章や管弦楽のための協奏曲などは、現在でもよく演奏される重要なレパートリーです。邦人の管弦楽作品は、オーケストラで演奏されることが現在でも非常に稀なだけに、これらの作品が吹奏楽のアマチュアによって頻繁に演奏されるという意義は大きい。
そしてこれらの邦人作品の編曲者であり、現在でも秋田南高校のために毎年マニアックな吹奏楽編曲を手がけている、作曲家の天野正道氏を生み出したことも、現在の吹奏楽界に与えた影響という意味で非常に重要です。吹奏楽編曲を学生時代から手がけて全国大会金賞まで受賞した(1976年の「ペトルーシュカ」は学生時代の天野氏の編曲で、さらにフルート・ソロも天野氏だそうです。1974年の「シェエラザード」では学生時代の天野先生がフルート・ソロを吹いているそうです)天野氏にとって高橋先生から受けた音楽的恩恵はとても大きかったのではないかと推察されます。
それにしても吹奏楽界では訃報が続きます。フレデリック・フェネル氏、松井郁雄氏、鈴木竹男氏、そして高橋紘一氏。いずれも現在の日本の吹奏楽を作っていった偉大な先人達です。
高橋紘一先生のご冥福を心からお祈りいたします。