中町信『模倣の殺意』

模倣の殺意 (創元推理文庫)

模倣の殺意 (創元推理文庫)

7月7日の午後7時、新人作家の坂井正夫が青酸カリを服毒して死んだ。彼は新人賞を受賞した後に作品がまったく出ず、これを悲観して自殺したものと判断された。医学系出版社の編集部員である中田秋子は坂井と親しい関係にあったが、死ぬ直前に坂井が多額の金を女から受け取っていたことを知り、女による他殺を疑って独自に調査を始める。一方、作家兼ライターの津久見信助は、死んだ坂井の遺作が雑誌に載ったのを見て愕然とする。その内容は先ごろ急逝した大家の小品に瓜二つだったのだ。坂井は盗作をしたのか? 坂井の死にどこか作為的なものを感じた津久見は、遺作が掲載された雑誌の編集部を疑う。

ひとつの事件に対して2人の探偵役がそれぞれ独自に調査を進め、それぞれが異なった事件の背景を探り、別々の容疑者のアリバイを暴いていく。出発点は同じのはずなのに、どこまでも平行線のままで進行する2つのパートはいつ重なり合うのか。そしてその先に見える真相とは・・・?
去年創元推理文庫で復刊された、知る人ぞ知る名作をかつて出していたらしい中町信のデビュー作。確かにこれは力作だ。構成がすごく凝ってる。創元推理文庫からはもう一冊出ているようなので、近いうちに読むかも。
>感想ページへ