アガサ・クリスティー『スリーピング・マーダー』

2006年の最初の感想はこれ!

結婚を期にニュージーランドからイングランドに移住して、新しい家を探していたグエンダは、ディルマスで一目で「これが私の家だわ!」と確信する家を見つけた。しかし、夫を待つ間新居の準備をしていた彼女は、この家を昔から知っているような、奇妙な感覚にとらわれる。塗りこめられた扉、埋められた庭の古い階段、そしてこの部屋にふさわしいと彼女が想像していたとおりの壁紙が、封印された戸棚の中に現れた。こんな偶然の一致があるだろうか? そして知人と一緒に出かけた劇場の中で、役者の一人が発した台詞にグエンダは激しく動揺する。「女の顔を覆え、目がくらむ、彼女は若くして死んだ」――そのときグエンダの脳裏に、ディルマスの家で幼い彼女が目撃した殺人の情景がよみがえった! ・・・知人の紹介で出会ったミス・マープルの助言を得て、若い夫婦は「眠れる殺人事件」を回想の中から掘り起こしてゆく。

『カーテン』がポアロ最後の事件なら、この『スリーピング・マーダー』はミス・マープル最後の事件。といってもいつものマープルものと雰囲気なんかは変わらなくて、最後だという気負いも無いです。この余裕もクリスティだからこそといえるでしょうか。
18年前の殺人事件、そこで何が起こったのか、そして犯人は誰か? 純粋に面白いです。欲を言えばマープルにもっと活躍して欲しかったかなと。