ノース・テキサス・ウインドシンフォニー「Wind Dances」

ウインド・ダンス Wind Dances
Wind Dances

  1. サーカス・リング (ポール・ハート)
  2. サウンディングス (シンディ・マクティー
  3. オリンピック・ダンス (ジョン・H・ハービソン)
  4. 静められた夜に (ジョセフ・シュワントナー)
  5. ダンス・ムーヴメント (フィリップ・スパーク)
  • 指揮:ユージン・コーポロン
  • 演奏:ノース・テキサス・ウインドシンフォニー
  • 販売:Klavier

現代吹奏楽の中で、最も評価の高いレコーディングを続けているのが、このコーポロン&ノース・テキサスのコンビだろう。その中でもとりわけ評判が高いのがこのCDで、彼らが精力的に全作品を録音しているシュワントナーの吹奏楽作品や、ハート、マクティーら現代アメリカを代表する新進作曲家の作品が収められている。
ハート「サーカス・リング」は華やかなサーカス・マーチだが、例えばフェネルがこの種のマーチを演奏したならば、もっと勢いや楽しさを前面に出しただろうになあ、と思わせるような、勢いのなさを感じるところが残念。「サウンディングス」はマクティー独特の異色サウンドが随所に見られ、面白い。「オリンピック・ダンス」はまるでアンサンブル作品のような緻密な技巧を要求される作品。パーカッションがほとんどないのでごまかしが利かない曲にもかかわらず、美しい音色で終始聴かせるテクニックはさすがである。
そしてシュワントナーの「静められた夜に」。シュワントナーといえば「…そしてどこにも山の姿はない」が有名だが、この「静められた夜に」は「どこ山」をさらに静謐な音楽空間の中に閉じ込めたかのような神秘的な作品。
そして何といっても圧巻なのはスパークの「ダンス・ムーヴメント」である。前4楽章からなるこの曲は超絶技巧を要求される難曲として知られ、東京佼成WOなども録音しているが、特に終楽章が破綻していたり安全運転になっていたりする。しかしコーポロン&ノース・テキサスはさすがの演奏で、難しさをそれと感じさせない演奏技術と指揮の素晴らしさによって、この作品が持つ圧倒的なエネルギー、爽快感、高揚感を見事に表現しきっている。この曲の世界でナンバー1の演奏、録音である。スパークファンならば聴き逃せない1枚だといえよう。