道尾秀介『背の目』

背の眼 (GENTOSHA NOVELS―幻冬舎推理叢書)
背の目

新進ホラー作家の道尾は、骨休めのために鄙びた山村の白峠村を訪れた。白峠村では、先ごろ何人もの子どもが行方不明になる事件があり、しかもその犯人は天狗だと噂されているらしい。話半分に聞いていた道尾だが、村の川原で「レエ、オグロアラダ、ロゴ…」という奇妙な声を聞き、恐怖のあまり東京へ舞い戻る。道尾は旧友で「霊現象探求所」の所長として名をはせつつある真備庄介に、自分の体験について相談を求める。折しも、真備の所には、白峠村とその周辺で撮影した写真の、後に自殺した人物の背中に人間の目らしきものが写っていたという相談が何件も寄せられていた。道尾の体験に本物の霊現象の可能性を見た真備は、助手の北見とともに3人で白峠村を再訪する・・・。

この本を読んでいると、『ひぐらしのなく頃に』を思い出しました。『ひぐらし』に関しては、きたろーは「崇殺し編」の途中までで中断しているので確言はできませんが、合理的な説明ができるところと、超常現象である「オヤシロ様」の崇りとして処理されるであろうところが条件設定も説明もなしにア・プリオリに混在してしまっているのではないかと個人的には推理していました。(解決編でどうなっているのかは知りません。また近々再開しようとは思っています)
この『背の目』も同様に、合理的に説明できるところと、心霊現象にゆだねているところが混在しています。本当は、心霊現象のように思われる部分は、謎は謎のままにして残しておいたほうが恐ろしさが余韻となって残るので良いのではないかと思いますが(ひぐらしはその点、解決編まではすべて読者の想像にゆだねているので、怖さが後々まで残って良かった)、本書の処理はかなり不満の残るところでした。
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