「サファリ殺人事件」

サファリ殺人事件

  • 監督:アラン・バーキンショー
  • 出演:ドナルド・プレゼンス、ブレンダ・ヴァッカロ、フランク・スタローン他
  • 製作年:1989年
  • 原作:アガサ・クリスティー

いやー、凄いものを見てしまいました。前々からそのトンデモぶりは伝え聞いていたので探していたんですが、先日市内最大のレンタル屋さんで見つけ、鑑賞。つっこみどころ満載で爆笑でした。以下、あらすじとともにつっこみどころを紹介します。
そして誰もいなくなった』を未読の方は、読まないようにしてください。
これ、『そして誰もいなくなった』の映画化作品なんですが、タイトルが『サファリ殺人事件』。そう! 舞台は孤島ではなく、アフリカのサファリ! なぜだ。
物語が始まると、とりあえず例の10人が現地人に案内されてキャンプ場まで連れてこられる。謎の奇声を発し、ダンスを踊り、キャンプ場につながる唯一のロープウェーを渡り終えるや否やぶった切る。それでも怪しまずキャンプ場に向かう10人。そしてみすぼらしいキャンプ地へ。オーエン氏からの謎の犯罪告発レコード。「来るんじゃなかった」と婦人。今頃気がついたのかよ! というか、なぜサファリに招待された時点で怪しまない?
ちなみに10人の姿かたちですが主演の男女以外はひどい扱い。

  • 将軍…老人ボケが始まったのか、いきなりヴェラ嬢を死んだ妻扱い
  • 元刑事…太りすぎ
  • 使用人…やっぱり太りすぎ。そして凄い高慢。客を客とも思わぬ暴言を吐きまくる。
  • 老婦人…「敬虔な老婦人」のはずが、超けばいオバさんに。

一人目に死んだ青年は、皆がそろっている場で誰も移動せず酒を飲み、死亡。いったいどうやって酒に毒を入れたのかと。これが可能なら凄いトリックが駆使されたに違いないが、誰もつっこまず。
使用人夫人死亡。サファリを捜索中ライオン出現。大自然に囲まれて開放感いっぱい、危険もいっぱいの『そして誰もいなくなった』って…。
将軍、突き落とされて死亡。老婦人も死亡。というか、全部部屋はテントなので鍵もかけられないし入り放題ですよ。ロンバードとヴェラがいい感じに。他の人は邪魔者だといわんばかりの態度。
判事が行方不明に。捜索に出かける男3人。あれ?行方不明になるのは違う人じゃなかったっけ?と思っていると、テントの天井から逆さづりになった判事がお嬢さんの目の前にバーンと!! さらに、医者の死体もカーテンを開けると画面にアップで倒れ掛かります。またまたお嬢さんの悲鳴。なんだこのB級ホラーも真っ青の古典的サプライズは!! このシーン、めちゃくちゃ笑えます。
さらにお笑いホラーは続く。残る刑事は原作では「熊に抱きしめられて」、熊の彫刻が入った時計を落とされて死ぬわけですが、この映画にそんな時計はキャンプだからない。そこで、とってもかわいい熊のぬいぐるみと一緒に刑事を刺殺! ここで爆笑はピークに達しました。
そしてラストでも笑わせてくれます。2人が生き残って、結局お嬢さんが彼を銃殺してしまうわけですが、自分の部屋に戻ると絞首台が…。ミステリ史上に燦然と輝く名シーンです。しかし、そこへ額から血を流し、鬘と赤い法服を纏った判事が!! 「実は死んだふりをしていたんだよ」「この血はトマトソースさ」「私はもう長くないんだ。(と言って薬を飲む)この毒は飲んでから3分ぐらいで死ねるらしい」・・・もう笑いが止まりません。
むりやり首に縄をかけられて絶体絶命のお嬢さん! 「キャー!誰か助けてー!」その声を聞いたからなのか、お嬢さんに撃たれたはずのロンバードが生き返り、お嬢さんを救出! 救助隊が来てめでたしめでたし!
・・・まさしく抱腹絶倒の100分間。クリスティーに思い入れのある方は、お笑いパロディだと思って気楽に見るのが吉でしょう。人によっては激怒するかも。