島田荘司『帝都衛星軌道』

帝都衛星軌道
帝都衛星軌道

息子が誘拐された。犯人が要求してきた身代金はたったの15万。内々に解決したいとする妻を説得し、警察の協力を仰いだ。警察が周囲を固める中、犯人の言われるままにトランシーヴァーを装着し、山手線に乗る妻。無線を通じて妻の言葉は警察に聞こえるが、犯人の話す声は聞こえない。山手線に乗っている間中、犯人は妻に何事かを語っているようで、妻は激しく反応した。警察はその列車はもちろん、前後を走る列車や周辺駅を捜索したが、犯人らしき人物は発見できず、いったいどうやって受信範囲の狭いトランシーヴァーで長距離を移動する人物と通信を取っているのか、分からなかった。当初簡単に犯人は尻尾をつかませると楽観視されていたこの誘拐事件に、警察は予想外に振り回されていく・・・。(「帝都衛星軌道(前編)」)

長編といってもいい中篇「帝都衛星軌道」を前編と後編に分け、その間に中篇「ジャングルの虫たち」をはさむ構成です。東京というジャングルを誘拐事件の謎がぐるりと取り囲むという意図でしょうか。
帯には「正直言って、自信作です」とのお言葉。これが本気なのか、島田荘司がちょっと言った台詞を編集部が全面的にピックアップしただけなのかは不明ですが、正直言ってつまらない。島田荘司「21世紀本格」の一番駄目な部分が出てしまったように思えます。
とまあきたろーとしてはこんな感じなので、ファンの方は感想を見ないほうがいいと思います。文句のほうが多いので。
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