全日本吹奏楽コンクール2006・一般編2

ようやく聴けた去年の全国一般のCD、後半の感想。

全日本吹奏楽コンクール2006<一般編II>

  1. 川越奏和奏友会 (5)「祝典のための音楽」より(モートン・グールド)――金
  2. 東京正人吹奏楽団 (1)ウインド・ブリッツ(デレック・ブージョワ)――銀
  3. 横浜ブラスオルケスター (5)吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」より(高昌帥)――銀
  4. 倉敷市民吹グリーンハーモニー (3)「教会のステンドグラス」より(オットリーノ・レスピーギ)――銅
  5. 創価学会関西吹奏楽団 (1)科戸の鵲巣(中橋愛生)――金
  6. ウインドアンサンブル・ドゥ・ノール (3)「ハリウッド組曲」より(F・グローフェ)――銀
  7. 名取交響吹奏楽団 (1)シダス(トーマス・ドス)――銀
  8. BMSウインドアンサンブル  (5)空中都市「マチュピチュ」(八木澤教司)――銅

後半はいよいよ会場もヒートアップ、という感じ。他の多数のブラボーに混じって、フライングブラボーも気にならない。
川越奏和は正確無比で堂々とした演奏。課題曲5はこの団体が一番しっくり来た。グールドの「祝典のための音楽」は、初めて聴きましたが、トランペット・ソロの度胸には脱帽。またサウンドも素晴らしく、この曲をこれだけ華やかに聴かせるのは難しかっただろうと思いました。
東京の顔になりつつある東京正人の「ウインド・ブリッツ」は、とても安定感のある演奏。ブラスバンドが原曲のこの曲だけに、ブラス・サウンドを前面に押し出したエッジの効いた演奏は実に爽快。
横浜ブラスはこの年の一般の部の白眉。ややぶつ切り感のあるカットだが、「陽が昇るとき」の情熱的な演奏に感動。特に後半の「陽光」の歌い上げっぷりは、多くの聴衆を魅了したに違いない。銀賞なのが信じられない、と思わずいいたくなる素晴らしい演奏でした。
倉敷の演奏は、それほど致命的な傷もないが、このラインナップの中では個々の発音(特に金管)やサウンド作りにおいて目劣りしたか。
創価学会関西は、課題曲の最初のほうこそやや不安定かと思われたが、すぐに持ち直し、まさに横綱級の演奏でした。「科戸の鵲巣」は難曲ですが聴衆の耳をひきつけて離さない魅力に溢れた曲で、あっという間の12分間だったと思います。
ドゥ・ノールの「ハリウッド組曲」は、ジャズやミュージカル音楽の要素をふんだんに取り入れた楽しい演奏。旧きよきハリウッド名作映画を観たような、心温まる癒し系の音楽でした。もう少しサウンドに柔らかさと広がりがあればいうことなし。
名取交響吹は正統派の音楽作りが決まっていて、かっこいい。前年の宝塚吹に比べると、「シダス」の神秘的な部分を強調したカットで、まさに大人の演奏。銀賞の中でも上位の演奏ではないでしょうか。
大トリのBMS木管の音色や発音、サウンド作りにまだまだ課題が残るものの、思い入れたっぷりの八木澤コラールは、聴くものに感銘を与えるに十分でした。素晴らしく爽やかな演奏で終了し、聴衆も満足だったのではないかと思います。