交響曲第3番「プラネット・アース」

Johan de Meij : Planet Earth
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  1. ウィンディ・シティ序曲
  2. エクストリーム・メイク・オーヴァー
  3. 交響曲第3番「プラネット・アース」
  • 作曲:ヨハン・デ=メイ
  • 指揮:ヘンリー・アダムズ
  • 演奏:アルティスティカ・ブニョル交響吹奏楽

前々から気になっていた一枚を衝動買い。デ=メイの吹奏楽近作を集めたかなりテンションの高いCDです。演奏はゴージャスなサウンドでかなり好みなスペインの名門バンド、アルティスティカ・ブニョル。ちなみに全く同じプログラムで最近大阪市音楽団が演奏会(デ=メイの自作自演だそうな)をしたそうです。凄いな。
デ=メイといえば交響曲第1番「指輪物語」ですが、このアルバムでは「指輪物語」の時からグレードアップしたデ=メイの音楽を楽しめます。
ウィンディ・シティ序曲は軽いジャブといったところ。デ=メイの美しいサウンドが思う存分味わえる一作。
ブラスバンドが原曲のエクストリーム・メイク・オーヴァーは圧巻の内容。サックスによる美しい主題の提示から、譜面が真っ黒っぽい凄まじい嵐のようなロマン派的前半部へと展開。興奮がクライマックスに達したところでマリンバ独奏へ。沖縄音階のような主題が繰返される中で少しずつ楽器が加わり、やがて圧倒的なテュッティへ。金管奏者の限界に挑むような鼻血ものの熱演に、きたろーはくらくらしました。素晴らしい!
そして「エクストリーム〜」の興奮も冷めやらぬまま、メインの交響曲第3番「プラネット・アース」へ。全3楽章からなり、それぞれが16分ずつ、全部で50分ほどの大曲である。各楽章の冒頭には、宇宙風か天体の公転か何かの音を表現していると思われるサウンド・エフェクト(おそらくCDか何かが楽譜セットには付いているのでは)が再生されます。交響曲第2番「ビッグ・アップル」の時にも似たようなのがあったけど、デ=メイはこういうのが好きですねえ。「プラネット・アース」はもともと管弦楽曲で多分2年くらい前に初演されたと思うんですが、吹奏楽編曲する時にどうしても外せなかったのか、かなり大きなチェロ・セクションが入っています。
第1楽章「孤独な惑星」は神秘的な雰囲気が支配する楽章。主に女声合唱によるが、神秘的な部分が途中で金管中心の神々しいテュッティに移り、頂点に達し、静かに終わる。第2楽章「惑星地球」はホルンがいかにもデ=メイ的な感じの主題をうたい、金管のファンファーレ、そしてフルートなどによる美しい旋律が導かれる。「指輪物語」第5楽章を髣髴とさせるホッとする一幕だが、後半に入るとアレグロになり、リズミカル・上昇志向で派手派手に展開。第2楽章は全体としてきらびやかな曲想。第3楽章「母なる地球」は、この長大な楽曲を締めくくるにふさわしい壮大な内容。前半は低音中心の、大地の鼓動を思わせるたくましい音楽。そしてチェロ・セクションと女声合唱による美しいコラール、このコラールはグランド・マーチ風に展開され、ここできたろー的にはグッと来ました。クライマックスは、これぞデ=メイとも言うべき限界高音を駆使した高みのサウンドを連発し、聴いているほうは夢心地(演奏者は地獄!?)。管楽器演奏による最高音によって構成されるサウンドは、耳にきついわけでもなく、むしろ神々しい、という表現がぴったりかと。素晴らしい音楽でした。
「プラネット・アース」は編成の都合上、そしてスタミナの問題でアマチュアには演奏不可能ですね。「エクストリーム・メイク・オーヴァー」も技術的に超難曲なので、生で聴いてみたいけど厳しいかなあ。