天野正道作品集「ストラトス4」

天野正道作品集「ストラトス4」

「おほなゐ」に続く佐藤正人プロデュース天野正道シリーズ。今回は謎の演奏集団を従えてアニメーション音楽「ストラトス4」を演奏。他にアンサンブル曲が何曲かと、藤村女子高最後の天野委嘱作品が収録されている。天野正道ファンであれば見逃せない1枚。

≪収録曲≫
天野正道作曲
ストラトス4」より5つの断章
ペンタゴン〜5人の打楽器奏者のための〜(打楽器5重奏)
そして静けさは森の中へ…(打楽器8重奏)
クールール・エ・ムーヴマン(フルート5重奏)
天空に舞う6人の天使たち(フルート6重奏)
神の啓示と大殺戮、世界の終わりの始まりに向かって
マーチ'98

ストラトス4」はGRシリーズよりももう少しアニメ的演出が強い作品だが、サウンドクラスターや打ち込み、テンプトラックなど天野さんの作曲技術が凝縮されている。特に打ち込みとソプラノサックスのコラボレーション「巨大彗星の脅威」は面白かった。
パーカッションアンサンブルは力作揃いだと思うが、やはりパーカッションは実際に生で動きとともに観ないと本当の良さは伝わらないと思った。フルートアンサンブルは何より演奏が素晴らしい。音の艶が均一に過ぎて個性がないとも思われるが、完璧なハーモニーと豊かな音質に支えられた演奏は、とても高校生とは思えない。
「神の啓示と大殺戮、世界の終わりの始まりに向かって」はまず凄いタイトルにびびる。藤村女子高がコンクールで演奏したときから天野ファンのあいだではずいぶんと話題になっていた曲だ。破壊とは曲をテーマにした曲だが「おほなゐ」のような古典的手法を使った音楽ではない。ロックのモードやジャジーな奏法を駆使し、強烈なリズムパターンによって破局への道を演出している。この演奏は中編成だと思うがなかなか気迫溢れる演奏だ。大編成での演奏も聴いてみたい。
「マーチ'98」はウォルトン戴冠式行進曲と日本のコンサートマーチをミックスしたような曲。メロディがきれいなので演奏会のアンコール向け。