アメリカ空軍バンド「シグネチャーズ」

シグネチャーズ Signatures

  • 指揮:Colonel Lowell E.Graham
  • 演奏:The United States Air Force Concert Band-Washington D.C.
  • 出版:Klavier
コラールとアレルヤ(ハワード・ハンソン)
バンドのための詩篇(ヴィンセント・パーシケッティ)
主題と変奏アーノルト・シェーンベルク交響曲変ロ長調パウルヒンデミットエスカペイド(ジャック・スタンプ)
ハリソンの夢(ピーター・グレアム)

泣く子も黙る超絶技巧集団、アメリカ空軍バンドの数少ない市販CDが、吹奏楽録音では定評のあるクラヴィーアから発売されました。古典的名曲に加えてスタンプやグレアムまで入っているのだからたまりませんね。早速聴いてみました。
ハンソンの「コラールとアレルヤ」のハーモニーにまずびびる。不純物のない美しいハーモニー、吹奏楽でしか出せない純正律の荘厳な響きに浸され、幸せな気分に。
パーシケッティの曲は、これは初めて聴いたのだがなかなかテクニカル。古典的名曲であるシェーンベルク「主題と変奏」、ヒンデミット交響曲変ロ調」はもはや彼らの独壇場といってよいでしょう。アメリカのバンドにしては珍しく硬質な感じがなく、柔らかいところはとことん柔らかく、鳴らすところでも全く無理をしていないのが分かり、なんというか一種の余裕が感じられるのです。「主題と変奏」のメロディーラインの流れるような演奏が素晴らしい。
エスカペイド」は楽しい曲だが楽譜を見たら仰天するような曲なのだろうなあ。初めて聴いた曲です。そして注目の「ハリソンの夢」。USAF委嘱作であり、彼らの技量に合わせて作曲されたであろう各楽器の超絶技巧の粋が満喫できる。この曲を通して、全く破綻がないのは当たり前、さらに場面ごとの切り換えや細かいフレーズを組み合わせる冷静かつ緻密な音楽の構築力に大人のハリソンを見た。
この勢いで、現在入手困難な他のUSAFの演奏も販売してほしいです。特に「フェスティヴァル・ヴァリエーション」とか「ダンス・ムーヴメント」の演奏が聴きたい!