東川篤哉『館島』

館島 (ミステリ・フロンティア)

館島 (ミステリ・フロンティア)

<カッパ・ワン>第一期生としてデビューした東川篤哉の久々の書き下ろし長編。<ミステリ・フロンティア>はいろいろな方面から有望新人を集めている気がするが、東川篤哉はきたろーも好きな作家なので『東京創元社、グッジョブ!』という感じです。

岡山県は瀬戸内海に浮かぶ島、横島。198×年1月、本州と四国をつなぐ瀬戸大橋の構想が実現されようとしているとき、その橋のコース上に位置するこの島で、岡山県では著名な建設会社社長(兼建築家)の十文字和臣が死んだ。現場は、彼が設計した4階建ての銀色の外観を持つ、正六角柱の形をした奇妙な館。館の内部には屋上まで続く巨大な螺旋階段があり、和臣氏はその踊り場で墜死していた。階段からの転落死ではなく、高所からの墜死――しかし墜死現場は見つからない。それから半年、未亡人になった十文字夫人からの招待で、館に再び事件の関係者たちが集まった。そして発生する惨劇。粗忽ものの若手刑事と、暴走気味の美人探偵は、はたして事件を解決することが出来るのか?

若手刑事と美人探偵の掛け合いが軽妙で面白い。まあそのあたりはいつもの東川氏ということで、まず表紙に笑いましたよ。おそらく過去に類を見ない巨大フォントででかでかと「館島」! プロットとしては横溝正史綾辻行人島田荘司をミックスしたような古典的本格っぽいのに、表紙でまず台無しに。というか東川氏の雰囲気にはぴったりかと。
>感想ページへ