飛鳥部勝則『誰のための綾織』

誰のための綾織 (ミステリー・リーグ)

誰のための綾織 (ミステリー・リーグ)

漫画チックながらも怪物めいた樹木の中にうずもれた女子高生がなんとも淫靡な表紙、実に素晴らしい。分量も結構あるし、飛鳥部勝則久々の自作絵画も挿入され、作者の気合の入りようが伺える。しかも「プロローグ」を読めば分かるとおり、メタ構造ですよ。きたろーはメタには弱いのです。

主人公の女子高生鹿取モネとその友人たち、さらに女教師はある日突然拉致され、本土から離れた孤島に監禁された。島には所有者の屋敷があり、その主人の名前からモネらは自分たちがなぜ監禁されたのかを知る。彼女たちは同級生の三識瞳を「蛭女」と呼んでいじめ、そして自殺させた。三識瞳の父親と弟、そして謎の巨漢の老人から呪いの言葉を吐きつづけられる。モネはその夜に想像上のおぞましい「蛭女」が徘徊する夢を見る。そして殺人事件が起こった・・・。

「蛭女」の描写はなかなか怖いし、主人公を含め登場する女子高生に全く共感を持てなかったところも良い。細かい部分は「感想ページ」に回すとして、なかなか面白かったです。
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