エラリー・クイーン『シャム双子の謎』

シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)

シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)

再読。国名シリーズ第7弾。今回はクイーンにしては珍しく館ものでクローズドサークルです。綾辻行人がクイーンの作品の中では一番好きとか言ってたような。でも結局ダイイング・メッセージに集約してしまうあたりがクイーンらしい。サスペンス的要素も多く盛り込まれており、新本格の読者に特にお薦め。

休暇でテキサス州に来ていたクイーン親子は、ニューヨークに帰る途中で山火事に巻き込まれる。日を避けつつ山道を行くうちに、山頂にある山荘にたどり着いた。クイーン親子が災難から避難するために一夜の宿を求めると、暗がりの中から陰気な使用人の男<骸骨>が現れ、ようやく中に入れたと思ったら、山荘の住人たちは誰もが何かを隠しているような奇妙な雰囲気に囚われていた。山荘の主であるゼーヴィア博士は医学界の権威であり、もう引退していたが、この山奥で研究活動を続けているという。そしてその翌朝、博士は物言わぬ死体となって発見された。博士の手には半分にちぎった<スペードの6>のカードが握られていた・・・。

感想は主に、本作を笠井潔の「大量死」理論から読むとどのように解釈できるのか、というところに力点をおいて書きました。事件の状況がなんとなく『哲学者の密室』の第2部に似ているような気がしたからです。改めて読むといろいろ新しい発見があってよかったです。
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