西澤保彦『腕貫探偵』

腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿

腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿

「市民サーヴィス課臨時出張所」なる表示を掲げ、会社の愚痴から殺人事件まであらゆる市民の相談を受け付ける、腕貫を嵌めたいかにも公務員然とした謎の男。彼は大学、病院、会社、路上と神出鬼没だが、相談をする市民は跡を絶たない・・・。
<腕貫探偵>を主人公とした短編7本を収録。

西澤保彦の今年の一冊目。前々から『月刊J-NOVELS』で連載が続いていたらしい『腕貫探偵』が単行本化したもの。個人的には西澤保彦は長編が好きなんですが、短編にもなかなか味わい深いものがあります。
しかし西澤保彦の短編は、どうも走りすぎというか、事件の概要を伝えるのにほとんどのページを費やしてしまって、ややこしいという印象を残すものが多い気がします。しかしこの『腕貫探偵』はかなり読みやすかった。リーダビリティーという点では今年の短編では上位に入るでしょう。
ただ本格ミステリという点からみると、ちょっと期待はずれかもしれません。西澤保彦お得意の<論理のアクロバット>をもっと見せて欲しいと思いました。
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