九州大会の展望(一般編)
たまには吹奏楽ネタも混ぜていこう。
今週末の福岡県大会(高校・中学)で、九州大会への代表団体がすべて出揃います。大学・職場・一般はすでに決まっていますので、全団体の演奏曲目などを俯瞰して、展望なぞ書いてみようかという次第です。
↓ここから、吹奏楽コンクールのマニア以外は閲覧不能です(笑)
<福岡県> レターナル・プランタン・ウインド・オーケストラ II:カウンシルオーク(D.R.ギリングハム) 大牟田奏友会 III:ワンス・モア・アントゥ・ザ・ブリーチ(S.メリロ) 飯塚吹奏楽団 I:Cantus Laetus〜歓喜の歌(D.ギリングハム) コンフォート・ウインドアンサンブル II:ラ・フォルム・ドゥ・シャク・アムール・ションジュ・コム・ル・カレイドスコープ(天野正道) 春日市民吹奏楽団 II:「おほなゐ 1995.1.17 阪神淡路大震災へのオマージュ」より(天野正道) 中村学園OB吹奏楽団 II:クリスマス・シーン〜歌劇「ラ・ボエーム」第2幕より〜(G.プッチーニ/森田一浩)
全部門通じて注目の福岡代表。通称「御三家」と呼ばれる大牟田、飯塚、春日の3団体が金賞候補で、中でも大牟田奏友会は全国大会3出がかかる大一番。大牟田奏友会の自由曲は、一昨年川口先生が大牟田高校で指揮していた曲なのでまとめやすいはず。例年優れたアンサンブル力を誇るも表現力で劣り全国を逃している春日市民吹奏楽団は「おほなゐ」を選曲。深い表現が必要とされる曲だけに不安かも。初顔のコンフォート・ウインドアンサンブルはここ数年天野作品を演奏している意欲的な団体で、すっきりとした伸びやかなサウンドが特色。流麗な表現を要求される「ラ・フォルム…」には合っていると思います。昨年コンクール初出場で九州金賞を受賞した小編成職人バンド、レターナルにも注目。
<熊本県> 熊本市民吹奏楽団 II:ローマの祭 1,3,4(O.レスピーギ/佐藤正人) 熊本ウインドオーケストラ II:スピリチュアル・プラネット(鋒山亘) 天草吹奏楽団 II:夜を守る友(M.キャンプハウス) ウインドミュージアムSO I:マスク(F.マクベス)
宇宙的広がりを持つ自由曲で他を寄せ付けない演奏を披露した熊本ウインドに注目。かつて「スターウォーズ」で全国に行ったときのような高い水準を感じました。ウインドミュージアムSOの完成度は高いが、自由曲でアピールしにくいのが難点。逆に完成度は低いが自由曲のインパクトは大きく、伸びしろが豊富なのが熊本市吹か。久々出場の天草吹にはいぶし銀の演奏を期待。
<佐賀県> みささぎ吹奏楽団 IV:氷河特急(高橋伸哉) 佐賀市民吹奏楽団 V:マリアの七つの悲しみ(樽屋雅徳) <長崎県> ナガサキ・ウインド・オーケストラ II:「コリアン・ダンス」より第3楽章(高昌帥) 佐世保吹奏楽団 II:「ストライク・アップ・ザ・バンド」序曲(G.ガーシュウィン)
なんといっても全国大会常連の佐賀吹奏楽団。人数が増えすぎてレベルが落ちているという噂もあるが、経験と実績はダントツ。今年は樽屋雅徳の新曲を演奏するが、佐賀市吹特有の圧倒的なサウンドに期待大です。今大会唯一の課題曲Vにも注目が集まります。初出場のみささぎ吹奏楽団、やはり邦人曲でフレッシュな演奏になりそう。
長崎県では、諫早吹奏楽団がまさかの落選。昔からコンスタントにレヴェルを維持しているナガサキ・ウインド、97年に全国大会出場ながらもその後は低迷を続けている佐世保吹奏楽団、いずれも現在は中堅的な位置付けですが、選曲に意欲的なものを感じます。特にガーシュインは楽しみ。
<大分県> 臼杵ウインドアンサンブル II:歌劇「ナブッコ」序曲(G.ヴェルディ/F.チェザリーニ) ジョリーカンパニー・ウインドアンサンブル II:吹奏楽のための「第2組曲」よりタンゴ、パソ・ドブレ(A.リード) <宮崎県> 日向市民吹奏楽団 II:歌劇「トゥーランドット」より(G.プッチーニ) 都城市民吹奏楽団 I:バレエ音楽「三角帽子」より(M.d.ファリャ)
いずれも九州大会の常連ではありますが、いまひとつパッとしないブロック。臼杵ウインドや都城市吹には個々の奏者に確かなレヴェルを感じますし、ジョリーカンパニーの爆発的な音量は確かにひとつの魅力です。しかし、昨年までの課題であるサウンド構築力やアナリーゼ力が上手く出来なければ、上位に食い込むことは難しいでしょう。
<鹿児島> 宮之城吹奏楽団 II:プラトンの洞窟からの脱出より(S.メリロ) 松陽高校OB吹奏楽団「緑」 I:ハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲(Z.コダーイ) J.S.B.吹奏楽団 I:交響組曲第10番「BRII」より(天野正道) <沖縄> 吹奏楽団コザ・フェスタ II:「オセロ」より1,3,4(A.リード) リバティーウインドアンサンブル II:セント・アンソニー・ヴェリエーション(ヒル)
鹿児島県はすべてが全国大会出場経験のある激戦区。宮之城は(最近は金管が荒いが)流麗なサウンドと音楽作りで、映画的な大作「プラトン」をどのように表現するのか楽しみ。木管を中心にした素晴らしく美しいサウンドが持ち味の「緑」、今年は定番の「くじゃく」に挑戦。そしてDVDも出て勢いに乗るJSB、昨年の演奏は強烈な表現と震えが来るような終盤のppに驚いたが、今年の「BRII」もまた確か静かに終わる曲だったはず。色彩感と表現力溢れるドラマティックな演奏を今年も見せてくれるでしょう。
沖縄県も近年はレヴェルの向上が著しい。特にリバティーは以前は金管の力任せな演奏が多かったと思うが、最近はサウンドが立体的になってきて驚いています。
九州大会は観に行く予定ですが、やはり代表争いは大牟田、春日、熊本WO、佐賀、JSB、宮之城あたりでしょうか。ともかくすべての演奏を楽しみにしています。