最近の読書

このところ吹奏楽ネタばかり日記に書いているので、ミステリ系の方には意味不明だろうと思います。これは7月から8月が九州では吹奏楽コンクールシーズンに当たるためで、シーズンが過ぎれば自然に沈静化される類の現象です。
ではミステリはどうかというと、なぜか8月は新刊が少ないですね。以前チェックした注目の新刊は月末ですし、どーせ『このミス』集票を狙って9月に刊行が集中するのでしょう。
よほどの有名作家でなければ逆効果なのにね。
では何も読んでいないかといえばそんなことはなく、大学のゼミ関連やら自分の関心やらで新書を読み漁っております。

歴史とは何か (岩波新書)

歴史とは何か (岩波新書)

「歴史とは、現在と過去との尽きることのない対話である」というセリフで有名ないわずとしれた名著。読みなおすのは4回目くらいだが、5年ぶりくらいでもある。今読み返しても古びない含蓄の深い書物だと思う。ただ、

歴史学の擁護―ポストモダニズムとの対話

歴史学の擁護―ポストモダニズムとの対話

とか、

いま歴史とは何か (MINERVA歴史・文化ライブラリー)

いま歴史とは何か (MINERVA歴史・文化ライブラリー)

なんかを読むと、歴史学もカー(J.D.ではなくE.H.です。念のためw)からこんなに離れたところまで来てしまったんだなあと感慨深いというかため息をつきたくなる感じ。ポストモダニストとの不毛な論争は、結局のところ歴史学がそれまでレゾンデートルとしてきた「実証性」とか「検証可能性」といった当然の手続を改めて見直す結果しか生み出さなかったのだろうか?
他方でカーがすでに述べているところの、歴史学は常に純粋に過去を再構築することを目的とするのか、それとも現在と未来を見据えてある程度プラグマティックに振舞うべきなのか、という、歴史学の目的についても、いまだに決着がついてない。
対立や破壊ではなく、協調や創造を目的にする実証的歴史学は正統性を確保できるのかが、国家主義的な歴史観や対立を煽る歴史観を克服するための鍵となるような気がするし、歴史家はその使命から逃げてはいけないと思う。