東野圭吾『容疑者Xの献身』

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身

高校教師にして天才的な在野の数学研究者である石神は毎日通勤途中に弁当屋に寄り、アパートの隣人で片思いしている靖子の顔を見ることを幸せな日課にしていた。しかしその幸せはある日突然崩壊した。靖子のもとを暴君的な元夫が押しかけ、靖子とその娘は抵抗するあまりに元夫を絞殺してしまったのだ。彼女たちの犯罪を知った石神は、何としても彼女たちを守るためにその頭脳をフル動員し、鉄壁のアリバイを用意した――。

ガリレオ探偵こと湯川学が探偵役のシリーズ3冊目。初の長編らしい。
いやー、これは良かった。倒叙なんだけど、真相に仕掛けられたトリックが見事に決まっているところが本格ファンにはたまりませんな。シンプルであるがゆえに盲点を突かれる快感が格別というか、その上真相が明らかになることによって押し寄せる感動。トリックと物語が結合した極上の本格ミステリです。
今年のナンバー1はこれで決まりかな? 石持浅海の『扉は閉ざされたまま』も良かったし、今年は倒叙の当たり年ですね。
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