石持浅海『セリヌンティウスの舟』

セリヌンティウスの舟 (カッパノベルス)

セリヌンティウスの舟 (カッパノベルス)

沖縄の荒れ狂う海に投げ出された6人のダイバー、彼らは浮力と安定感を確保するためにお互いの手をつないで輪になり、生き残った。その体験を共有して、彼らは心の深いところまで信頼しあえるかけがえのない仲間になった。しかし何度目かの飲み会の後で皆が眠り込んでいる間に、仲間の一人、美月は青酸カリをあおって自殺した。その死の意味を考えるために、5人は再び集まった。現場写真を見た一人が、一つの疑念を持った。なぜ、青酸カリの入ったビンのふたが閉められていたのか? わずかなほころびが、信頼で結ばれた5人の間を切り裂こうとしていた・・・。

個人的に石持浅海の作品は、これまで全て傑作だと思っているんですが、これははじめていまいちと感じました。相変わらずロジック重視なんだけれども、ぜんぜん納得がいかないというか。特殊な人間関係ゆえの物語なので、その特殊さを読者も共有できなければ話が進まない。でも私は共有できませんでした。
作者がやろうとしたことは理解できるし、それはそれで凄いと思うんだけれども、作品自体を面白いと感じることができませんでした。残念です。
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