歌野晶午『正月十一日、鏡殺し』

正月十一日、鏡殺し (講談社文庫)

正月十一日、鏡殺し (講談社文庫)

今回はもう一冊。歌野晶午中期の傑作短編集を一気読み。話が進むにつれてだんだん怖さ(というか悲惨さ)が増してくるのが歌野らしくて良い。ミステリとホラーが上手く融合していて、とても面白かったですよ。
「盗聴」・・・盗聴癖のある受験生の話。「カチカチドリ」って何だ?
「逃亡者 大河内清秀」・・・名前を変えてバンコクで逃亡生活を送る男が綴る物語。
「猫部屋の亡者」・・・日夜恋人の亡霊に悩まされる男の話。ちと怖い。
「記憶の囚人」・・・主婦の一人称? 表現が毛色が違って面白い。
「美神崩壊」・・・だんだん洒落じゃなくなってきた。最期は悲惨。
「プラットホームのカオス」・・・これは上手い。本格ミステリとしての本書のベスト。
「正月十一日、鏡殺し」・・・人の悪い作家、歌野晶午の真骨頂。ひどすぎる。