山田正紀『マヂック・オペラ』

「2・26」前夜の帝都東京。警視庁・特高の志村警部補は上司からの命令で小菅の刑務所に赴いた。彼はそこで「“乃木坂芸者殺人事件”備忘録」と題した殺人事件の調査書を読む。乃木坂の置屋「いな本」から悲鳴が響き渡った。内側から鍵がかけられたふすまを蹴破って発見者たちが入ったときには、股間を抉り取られ血まみれになった芸者の死体が横たわっていた。犯人は密室からどのようにして逃走できたのか? それにしても、特高とはいえ警察の人間である志村がこのような猟奇殺人をまったく知るところがなかったのは解せなかった。何者かがこの事件を隠蔽しようとしている――? 志村は刑務所で遠藤平吉という囚人と面会し、その後「検閲図書館」と呼ばれる男に会うことになっていた。「検閲図書館」黙忌一郎とは何者なのか? 芸者殺人事件に隠された謎とは? そして昭和維新を叫ぶ青年将校たちの動きが、殺人事件と少しずつ重なり合っていく・・・。

あの『ミステリ・オペラ』の続編がついに登場。前回味わったような探偵小説の醍醐味のような感じはなかったけど、昭和初期の雰囲気が良く出ていて面白かったです。感想では辛口ですが、最終作『ファイナル・オペラ(仮)』には期待してますよ。
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