有栖川有栖『幻想運河』

幻想運河 (講談社ノベルス)

幻想運河 (講談社ノベルス)

気ままな異国の旅の果てにアムステルダムに居ついたシナリオライター志望の恭司は、そこで知り合った日本人たちからこの国では合法となっているドラッグの手ほどきを受ける。鮮烈な体験のせいかその夜に見た夢を基に、恭司はバラバラ殺人事件をモチーフにした小説を書き始める。そして奇しくもそれに対応するかのように、アムステルダムの方々の運河に、日本人のものと思われる体のパーツが浮かんだ・・・。

人の勧めで読んでみました。なるほど、有栖川らしからぬ非ロジックで物語性(というか幻想性)重視のプロットは一読の価値あり。ただし、ドラッグの描写が多いのでそこに頼りすぎかなと。もっと眩暈のするような幻想的世界を、幻覚の世界ではなく構築して欲しかったと思いました。
あと、原書房の『本格ミステリ・ベスト10 (2006)』の詳細な感想も追加。
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