全日本吹奏楽コンクール2005(その2)

kitarojp2005-12-27

シリーズのナンバーで言うとvol.11〜13。今年何かと話題の多かったビクターのコンクール全国大会大学・職場の部CDです。
ずいぶん前に買ってすでに大分聴きこみ、マイベストCDまで編集してしまったわけだが、とりあえずせっかく買ってあるので少しだけレヴューします。
(凡例)団体・曲名の表記は、団体名(指揮者名)課題曲番号:自由曲名(自由曲作曲家名/編曲者名)

Vol.11 大学・職場編

とりあえずキングレコードにブーイングをしておこう。なぜ職場と大学が金賞団体のみ収録なのか。職場の演奏レヴェルが低い、というのならきちんと専門家による説明を付すべきだろうし、銀・銅の演奏の中でも鑑賞に値する演奏が無かったとは、前年までの演奏を聴けばいえないはずだ。
毎年特に競争も無く全国大会に連続出場する職場はともかく、大学に関してはあんまりな措置だ。4年ないし3年生にとって全国大会は彼らの活動の中でも最も華々しい舞台であり、二度と訪れない一瞬を市販のCDとしてこれまでは聴くことができたのに、今回は一方的に企業の都合によって彼らの貴重な演奏がライブ以外では聴けなくなってしまったのは本当に残念だ。キングレコードには猛省を促したい。
さて、収録された金賞団体についてだが、文教大学は課題曲こそ全部門の中で最も洗練されたパフォーマンスを披露してくれたものの、自由曲は散漫で長生淳の絵画的音楽を表現できていないように感じた。あとこれはホールのせいかもしれないが、和太鼓の音が響きすぎてブラス・サウンドから浮いてしまっているのも耳を疑った。
神奈川大学は相変わらずの高水準の技術・サウンド・音楽。言うことなし・・・といいたいところだが、98年にびわ湖ホールで聴いた「サロメ」に比べると描写力に欠けるような。
駒澤大学は問答無用の音楽世界を作っていた。金管は鳴らしすぎだし、木管はあまり聴こえないし、やっつけ仕事みたいにも思えるところが細かく言えばたくさんあるのだが、細かいところに突っ込みを入れるのが野暮だと思えるほど、この音楽は懐が深い。こんな風に技術など気にせず、コンクールであることを忘れて音楽に没頭できるのはこのバンドだけだろう。ラストの転調のところなどはCDにもかかわらず鳥肌が立った。生だともっと凄いのだろうなあ。
玉川大学は非常に練習されてあるなあ、としかいえない。課題曲は序盤破綻気味だが、次第に良くなった。自由曲は各アンサンブルの精度が高く、古典っぽい雰囲気をよく表現していると思う。
ブリヂストンは技術力がついた駒沢大みたいな感じ。九州大会の投げやりな演奏が嘘みたいな美しいフレーズのつなぎ、そしてダイナミックな演奏。凄い。トロンボーンはちと音を割りすぎな気も。あとクラリネットのミスが目立った。
NTT西日本はもう別世界。「ジャンピン・アット・ザ・ウッドサイド」のノリは何回聴いても気持ちいい。ドラムとベースがよくリズムに乗っているし、バンドの盛り上げ方も上手い。次のチーク調の曲はよく知らないですが、雰囲気出てますねー。ラストの「パリの4月」、もうひと盛り上がり欲しいところですが、大人のジャズゆえの抑制。観客の多くは「One more time!」を期待してたかも。ともかく素晴らしい!
一般の部はまた今度。今年中にはアップしたいですが、厳しいかも。