綾辻行人『びっくり館の殺人』

びっくり館の殺人 (ミステリーランド)
びっくり館の殺人

学生街の古本屋で見つけた鹿谷門実の小説。「僕」はその著者近影と、作中で語られる建築家「中村青司」の名に覚えがあった。あれは「僕」が10年前の小学生のときに体験した、「びっくり館」の事件のときだった。神戸に引っ越してきて半年はたとうとする頃、僕は「びっくり館」に住む古屋敷俊生と友達になった。その屋敷には老主人の古屋敷龍平、孫の俊生、そして孫同然に老人がかわいがっている人形のリリカがいた。そして、古屋敷龍平が密室で殺されるという事件が起こったのだ。その第一発見者は僕たちだった・・・。

なんというか、無理に子供向けに書こうとして失敗した感じです。アイデア自体は面白かったんですけど、見せ方がよくなかったと思いますね。
あと、最後の推理(というよりも妄想)はほとんど手がかりもなく説得力がないような。オカルト風味を強くしたかったのでしょうか。もっと人形のイメージをおどろおどろしく強調すれば、最後の展開は効果的だったかもしれません。
『暗黒館』があれだけの難産だっただけに、肩の力を抜いてさらっと書き上げたのでしょう。こんな感じで年に1冊は新作を読ませてもらえるかもしれません。
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