法月綸太郎『怪盗グリフィン、絶体絶命』

怪盗グリフィン、絶体絶命 (ミステリーランド)
怪盗グリフィン、絶体絶命

「あるべきものを、あるべき場所に」をモットーとするニューヨークの怪盗グリフィンのもとに、メトロポリタン美術館に所蔵されているゴッホの自画像を盗んでほしいという依頼が舞い込む。展示されているゴッホは、天才贋作家が作った贋物で、依頼人はその贋作家の作品をコレクションしているという。世界随一のセキュリティーを誇るメトロポリタンの警備網を、グリフィンはいかにして切り抜けるのか。しかしその依頼は、グリフィンが巻き込まれる陰謀の、まだほんの序章にしか過ぎなかった・・・!

これはものすごく面白い。感想ではいろいろと理屈をつけて褒めていますが、小難しく考えなくともどっぷりと物語の世界に浸るだけで、至福のひと時を過ごせる一品です。
<ミステリー・ランド>って、値段が高いのであまり読んでいないんですが、私が読んだ中では本書が一番面白く、また安心して子どもにも読ませられる作品なのではないでしょうか*1。しかも単に子供向けというだけでなく、大人が読んでも、年季の入ったミステリファンが読んでも皆満足できると思います。少年時代にこういう本を読める今の子どもたちは幸せですね。

*1:「子どもに安心して読ませられる」と言うと当たり前のことかもしれないが、麻耶雄嵩神様ゲーム』があまりにも子どもに読ませたくないと思ったもので。