ノース・テキサス・ウインドシンフォニー「Poetics」

Poetics ポエティクス
Poetics

  1. スタンピード (スティーヴン・ブライアント)
  2. アルプスの詩 (フランコ・チェザリーニ)
  3. ヴェントス・イ・タンゴス (マイケル・ガンドルフィ)
  4. 打楽器協奏曲 (ジョセフ・シュワントナー/アンドリュー・ボイセン編)
  • 指揮:ユージン・コーポロン
  • 演奏:ノース・テキサス・ウインドシンフォニー
  • 販売:Klavier

最近シュワントナーの入ったKlavier Wind Projektシリーズを集めるのが趣味のきたろーですが、今回は32分もある大曲「打楽器協奏曲Percussion Concerto」が入っております。
で、聴いてみたわけですが、ちと長すぎですね。特に第3楽章は全編パーカッションをフューチャリングしてるんですが、これが長い。延々10分ほどパーカッション・ソロが続いたと思ったら、唐突に合奏が入り、終了。あっけに取られました。第1、第2楽章はいかにもシュワントナーという感じのベルトーンがいい具合ですが、他の彼の吹奏楽作品に特有の幻妙な響きがほとんど聴かれず、むしろ吹奏楽の迫力を前面に押し出したような感じで、彼の作風の良さが出ていない。おそらくこれは演奏のせいではなく、編曲のせいではないかと思います。シュワントナーの響きは、シュワントナーにしか出せない。まさにオンリーワン作曲家としてのシュワントナーを、逆説的にも実感しました。
もうひとつの大作、チェザリーニの「アルプスの詩」ですが、この曲はバンドの個性が出ますね。プロ、アマチュア、国籍問わず多くの団体が演奏・録音している名作*1ですが、それだけに個性も出ます。大体日本人の演奏は、嵐の場面は激しく、コラールはフレーズ間を出す団体が多いですが、欧米の演奏は「雄大さ」を優先させて、極端な激しさは求めない様子。ノース・テキサスもまた、アルプスの懐の深さと自然に対する畏怖を呼び起こさせるような、どっしりとした嵐の表現と、息の長いフレーズをじっくりじわじわと聴かせるコラールが印象的です。ただ、コラールはJ.W.F.バンドのほうがきたろー的にしっくりきますが。
他の収録曲ですが、「スタンピード(牧場で家畜を追ったりする様子?)」はコミカルで軽妙な作品。「ヴェントス・イ・タンゴス」は、タンゴの哀愁誘うメロディーがどこか気恥ずかしい。面白い曲です。

*1:リヒャルト・シュトラウスアルプス交響曲」のパクリ的な面も強いので、名曲というのには語弊があるかもしれませんが、「アルプス交響曲」にオマージュを捧げて吹奏楽曲として昇華させたと、肯定的に捉えております。ただ、チェザリーニの曲は大作曲家のオマージュ的な曲が多いので、そこは問題なんですが。「ブルー・ホライズン」の第2楽章なんて、ブリテンそのまんまです。