鮎川哲也『ペトロフ事件』

ペトロフ事件 鬼貫警部事件簿―鮎川哲也コレクション (光文社文庫)
ペトロフ事件

大連郊外の夏家河子で、ロシア人富豪イワン・ペトロフが射殺される事件が起こった。彼の莫大な遺産を受け取る3人の親類が容疑者と目された。しかし甥のアントンは犯行推定時刻には列車に乗っており、目撃者も多数見つかった。その従兄のニコライは犯行現場から遠く離れた農家を訪問しており、その弟のアレクサンドルは婚約者とともに旅行に出ていた。3人が3人とも動機は十分ながら、強固なアリバイをそろって持っている。鬼貫警部は、果たして犯人のアリバイを破ることが出来るのか?

鮎川哲也のデビュー長編。そして鬼貫警部初登場にして満州を舞台にした正統派のアリバイ・ミステリー。実際の時刻表を用いたアリバイ・トリックはもちろん、トリッキーな仕掛けもあり、鮎川哲也の原点といえましょう。
時刻表の仕掛け自体は、しばらくにらめっこしていたらすぐに分かりました。ヒント出しすぎです。しかし全体的にとても楽しめる小説でした。
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