辻真先『アリスの国の殺人』

アリスの国の殺人 日本推理作家協会賞受賞作全集 (42)アリスの国の殺人 (Daiwa Novels)
アリスの国の殺人

  • 著者:辻真先
  • 出版:大和書房 1981年

夢の中で、綿畑克二はアリスと結婚式を挙げていました。上段に控えるのはトランプの女王、女王が杖で三月兎を殴ります。そう、ここは克二が愛する『不思議の国のアリス』の世界。しかし神父は漫画から抜け出たやせぎすの猫、ニャロメ!――現実の克二は童話出版会社に勤めていたが、何の因果か会社が漫画雑誌の発刊に乗り出して、漫画編集者にさせられたのだった。克二を鍛え上げるのは、大手『週刊ウイークリー』から引き抜かれた敏腕鬼編集長、明野。しかし明野は軽井沢の別荘で死体となって発見される。鬼編集と言われた明野を恨んでいた者は多かったが…。――そして夢の世界では、チェシャ猫が密室で殺害され、よそ者の克二は容疑者として裁判にかけられるのだった。

不思議の国のアリス』の登場人物たちに加えて、ニャロメ、ヒゲオヤジ、鉄人28号など名作漫画の登場人物たちも顔を出す変なメルヘン世界の物語と、現実世界とのギャップがとても痛い。面白かったです。
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