なにわ《オーケストラル》ウインズ2006
- レイズ・オブ・ザ・サン (ロッサノ・ガランテ)
- アルメニアン・ダンス・パート1 (アルフレッド・リード)
- 序曲ハ調 作品24 (フェリックス・メンデルスゾーン)
- リンカーンシャーの花束 (パーシー・グレインジャー)
- ナイルの守り (ケネス・J・アルフォード)
- 組曲「宇宙戦艦ヤマト」より (宮川泰/宮川彬良編)
- イエスタディ・ワンス・モア (ジョン・ベティス&リチャード・カーペンター/岩井直溥)
- 六甲颪 (古関裕而/木村吉宏)
- 指揮:丸谷明夫、宇畑知樹
- 演奏:なにわ《オーケストラル》ウインズ
- 販売:ブレーン
年に一度、関西のオーケストラ管楽器奏者が集まって一夜限りの吹奏楽団を結成する恒例行事、なにわ《オーケストラル》ウインズのCDを今年も買いましたよ。
このバンド、なにが凄いってそのきめ細かい上質なサウンドが凄いのです。吹奏楽って、アマチュアの場合は特に音量命みたいなところがあって、とにかく吹きまくる。でも技術が伴っていないものだから「うるさい」サウンドになる。トップバンドといわれるいわゆる名門校の演奏ですら、耳をふさぎたくなるほどの非音楽的音量になることが多い。しかし「なにわ」はわれわれのそんなイメージを覆しました。各楽器の特性を十二分に発揮したとろけるような音色に、上質なサウンド、そしてそれでありながらホールいっぱいに広がる豊かな音量。かつてギャルドやイーストマンといった海外の一流バンドが見せつけた吹奏楽の理想形が、日本でも聴かれるようになったのです。
昨年のきたろーのレビューでは、トランペットがやや汚い音色で、せっかくの上質なサウンドが損なわれていると書きましたが、今年は心配無用。思わずうっとりとしてしまう最高の音楽です。
オープニングはガランテ「レイズ・オブ・ザ・サン」。華やかでありながら決して押し付けがましくない、素晴らしい滑り出し。初めて聴いたけど、良い曲だなあ。
そして「アルメニアン・ダンス」はパート1のみを演奏。各奏者の素晴らしいテクニックに天国のリード先生もご満悦でしょう。指揮は丸ちゃんですが、かつて淀工で金賞を受賞したときとは違って落ち着いたテンポの「行け、行け」は、まさに大人の演奏。
今年の古典その1、メンデルスゾーンの「序曲」。普通は現代編成に合わせた編曲版が演奏されるのですが、今回はバセットホルンやナチュラルトランペットなど、古典管楽器を可能な限りそろえたほぼ原典版による演奏。これこそプロオケ奏者の腕の見せ所。バロックの雰囲気に満ちた素晴らしい演奏。
古典その2、グレインジャーの言わずと知れた名曲「リンカーンシャーの花束」が、これまた凄い。テクニックはもちろんのこと、今回は表現力で魅了します。丸ちゃん、この曲をかなり研究したのでしょうか。思わず引き込まれる名演奏。ちなみに、きたろーは知らなかったのですが、「リンカーンシャーの花束」第3曲にはヴァージョンBがあって、今回はこちらも収録されています。
アンコールでは「イエスタデイ・ワンス・モア」が素晴らしい。特にトランペット・ソロのとろけるような音色!
ラストは「六甲颪」。丸ちゃんの趣味なのか? 会場は大盛り上がりで楽しい雰囲気がCDでも伝わりました。
ボーナスCDの課題曲は、楽曲に対する感想を含めてまた後日。今年の課題曲を聴くの、これが初めてだよ・・・。