国旗・国歌強制もここまで来たか

埼玉県戸田市の伊藤良一教育長が市議会で、市立小中学校での入学、卒業式の君が代斉唱で起立しない来賓について「はらわたが煮えくり返る」と批判していたことが20日分かった。市教育委員会も起立しなかった来賓の氏名や人数の調査を検討しているという。
君が代斉唱をめぐっては、東京都教委が地方公務員法に基づき、起立を拒否した教員を大量処分しているが、来賓に関しては教育委員会に指導権限がなく、調査することになれば極めて異例。
市教委によると、今月13日の市議会で「保護者や来賓で起立しない人がいる」との一般質問に、伊藤教育長が「(事実であれば)はらわたが煮えくり返る」と答弁。「内心の自由という人がいるようだが、生徒たちの前で規律を乱すようなことがあってはならない」と述べた。
不起立に「煮えくり返る」 君が代斉唱で戸田市教育長

国旗国歌法」は内心の自由を侵害するものではなく、国歌斉唱を強制するものではないという性質のものだったはずですが、東京都をはじめ国歌斉唱強制の嵐が吹き荒れていることは聞き及んでいました。
それについても問題だとは思っていましたが、公務員ゆえの運命かと半ば諦めの境地。しかしこの伊藤良一とやらの発言はそんなレヴェルを軽く吹き飛ばしています。これはもはや愛国心云々をめぐる問題ではなく、人権侵害の問題にまで入っています。アメリカの議会に通報したら大騒ぎになるでしょう。
Yahooニュースでは「極めて異例」などと穏やかな表現をしていますが、「極めて常軌を逸している」とでも言ったほうが適切かと。権力を持った国家主義者の傲慢が実に醜い形で現れています。少なくとも現在の憲法下では明らかに違憲だし、実際に調査行為を行えば訴訟沙汰になってもおかしくない。国歌斉唱に抵抗のある市民は取締りの対象になるとでもいうのか。「はらわたが煮えくり返る」のはこっちのほうです。
法律がいかに中立を唱えようとも、あくまで法律は道具でしかなく、道具を用いる人の信念次第でいかようにも適用されうるのです。国家主義者が権力を握っていれば、当然国歌に反する個人の意見を圧殺するために法律を悪用する。改憲なんかしなくても、どうやらこの国は着実に言論弾圧、国家への絶対服従の方向に動いているようです。強制される君が代斉唱に何らかの価値があるとはとても思えない。国歌を歌おうとする心情も愛国心(祖国愛でも一緒)も自発的に生れてこそ尊い価値を持つものでしょう。
これではやっていることは中国や北朝鮮と変わらない。皆さんはあんな国になって欲しいですか? 私はなって欲しくありません。とても不安です。