草上仁『文章探偵』

文章探偵 (ハヤカワ・ミステリワールド)
文章探偵

中堅ミステリ作家の左創作は、文章から書いた人物の特徴をプロファイリングする「文章探偵」を自任している。彼はその能力を生かして、収入の不足を補うために小説創作講座の講師も務めていた。ある日、女性のバラバラ殺人事件が発生したというニュースを見て、左は驚愕する。その殺人事件の詳報によれば、彼が二次選考委員を務める「トパーズ新人賞」に送られていた応募現行のプロットとそっくり同じだったのだ。左は「文章探偵」として、この原稿が創作講座の生徒の一人によって書かれたと推理する。バラバラ殺人の犯人はこの生徒なのか? おりしも、左のもとに匿名の脅迫めいた手紙が立て続けに送られていた。事件の累が自分に及ぶことを察知した左は、「文章探偵」として殺人事件の捜査に乗り出すが・・・。

凄い。傑作。徹頭徹尾論理に裏打ちされた本格ミステリでありながら、文学的香気すら感じさせます。
序盤から「文章探偵」なる方法論が面白すぎます。そして終盤の怒涛の展開は、本格ミステリのスピリットに満ち溢れていて、不覚にも感動して全身がゾクリとしました。
中盤少しだれるのが難といえば難ですが、個人的に間違いなく今年のベスト3には入ります。
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