鮎川哲也『戌神はなにを見たか』

戌神はなにを見たか 鬼貫警部事件簿―鮎川哲也コレクション (光文社文庫)
戌神はなにを見たか

東京・稲城市で高名な写真家・小日向大輔の死体が発見された。現場には外国人の横顔が刻印された装飾品のようなもの、そして被害者の消化物から特徴的な瓦煎餅の欠片が発見された。小日向は妻との関係が冷却化しており、かつて小日向と彼女を奪い合った友人の風景写真家、坂下護が容疑者として浮上した。坂下は犯行当時、探偵雑誌の依頼で江戸川乱歩が生まれた三重県名張近郊にいたというアリバイを主張。しかし、瓦煎餅の販売地と、被害者を刺した「戌神」の剣が発見されるに至って、当局は坂下の逮捕に踏み切った。事件はそれで終わるかに見えたが・・・。

鮎川版メタ・ミステリ。「幻の探偵作家を求めて」的なネタと、当時の探偵小説の内側が少し書かれていたり、鮎川の探偵小説観や女性作家観なども垣間見れます。そういった意味でとても興味深い作品。小説としてはちょっと冗長かなーと。
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