九州吹奏楽コンクール(大学の部)

大学・一般・職場の部、終わりました。いやー、長かった。やっぱりスケジュールを詰め込みすぎっすよ。大学が終了したのは夜の9時45分だもんなあ。演奏のほうはというと、良い演奏もいくつかありましたが疲れを吹き飛ばすほどの名演もなかったです。
とりあえず大学の部をレビュー。
代表は福岡教育大学福岡工業大学。全体としてはレベルが上がっているものの、中堅の団体がもうひと伸びできない感じ。

第51回九州吹奏楽コンクール 大学の部
2006年8月26日(土) 於:イイヅカコスモスコモン

  1. 日本文理大学  (5)「おほなゐ」〜1995.1.17阪神淡路大震災へのオマージュ〜(天野正道)――銀
  2. 福岡教育大学  (1)「シンフォニエッタ〜水都のスケッチ」より(ヤン・ヴァン=デル=ロースト)――金・代表
  3. 鹿児島大学  (1)マゼランの未知なる大陸への挑戦(樽屋雅徳)――銀
  4. 佐賀大学  (2)風紋(保科洋)――銅
  5. 九州看護福祉大学 (4)氷河特急(高橋伸哉)――銀
  6. 長崎大学  (1)「インプルーヴィング・ダンス」より(清水大輔)――銀
  7. 福岡大学  (3)「交響管弦楽のための音楽」より(芥川也寸志/建部知弘編)――金
  8. 宮崎大学  (3)組曲「モスクワ・チェリョムーシカ」より(ドミトリー・ショスタコーヴィチ/鈴木英史編)――銀
  9. 熊本大学  (1)交響曲第2番「キリストの受難」より(フェルレル・フェルラン)――銀
  10. 福岡工業大学  (1)交響曲第1番「指輪物語」より(ヨハン・デ=メイ)――金・代表
  11. 別府大学  (4)ウィズ・ハート・アンド・ヴォイス(デイヴィッド・ギリングハム)――銀
  12. 九州保健福祉大学 (2)組曲「仮面舞踏会」より(アラム・ハチャトゥリアン/槙野幸宏編)――銅

例によって順番にコメントを。ちょっと批判が多くなりそうですが、あくまで主観ですのでスルーしてください。
日本文理大学は毎年チャレンジングな選曲です。課題曲はテンポが速すぎて崩壊寸前、自由曲は被災者に申し訳ないような演奏。銀だったのが不思議。
代表となった福岡教育大学は、正直よく金賞も取れたものだと思うほどの演奏。本人たちもおそらく不本意な出来だったのではないでしょうか。課題曲も自由曲もサウンドが固まっておらずばらばらで、音楽のラインが不明瞭でした。個々の奏者の音色は素晴らしいのですが、それが合奏体としては別個の主張をしてしまってまとまらない。自由曲のクライマックスは雑然としすぎていました。
鹿児島大学は、音楽の作りは幼いものの良くまとまった好演。ホールのキャパシティに合った音量で心地よかったです。金賞でも良かったです。九州看護福祉大学の課題曲はちょっといただけない。ミスが多い上にサウンドも出来上がっておらず、曲を表現する以前に技術が伴わないと。自由曲は爽やかで良かったです。長崎大学は青春真っ只中なメロディーの自由曲が印象に残っていますが、音色や響きという点では他の上位団体に劣るという印象。
福岡大学はいつになく集中力のある好演でした。確かに奏者のレベルは代表団体に劣りますが、音楽表現という次元で見た場合、この団体が一番優れていたように思えます。サウンドにもまとまりがありました。トロンボーン・ソロは堂々としたものでしたが、少々音を割りすぎて音色を犠牲にしていたのが残念。代表に入っても不思議ではない演奏。宮崎大学はピッチの乱れが顕著でしたが、トゥッティになると不思議とまとまりのあるサウンドが出るのが謎。
熊本大学は最近の中では最も完成度の高い演奏だったと思います。特に自由曲のサウンドと表現力には目を見張るものがあり、メリハリのはっきりした好演でした。中低音が充実していたのが良かったです。ただ、やはり個々の奏者レベルになると代表団体には劣るわけで、ソロやピアノの場面になるとそうした弱点が露呈していました。ただ、この演奏が銀賞というのはちょっと厳しすぎる気がするのですが。
最近の九州の雄、福岡工業大学は相変わらず奏者の音色が別次元に素晴らしかったです。穴を見つけようとしても見つからない。音が鳴るたびにため息が漏れるような完成度の高い演奏でした。しかし表現力という点では積極的なプラス面が見つからず、四面四角に整えられた人間味のないロボットのような演奏という印象を持ったことも確かです。
別府大学は初出場でしょうか。指揮の先生の棒がとても情感豊かで、課題曲4をたっぷりと歌い上げました。そしてそのノリのまま、自由曲も情感たっぷりに歌い上げました。私が知っている「ウィズ・ハート〜」とはまるで別の曲のように聴こえましたが、この曲は賛美歌がモデルなので、この先生の解釈も十分ありなのではと思います。少人数で技術的にも厳しいものがありましたが、実に音楽的な演奏で楽しませてもらいました。