全国大会プログラム(一般編)
大学・職場の部のプログラムを見て癒されてから一般の部を見ると、ぶっ飛びます。
第54回全日本吹奏楽コンクール 一般の部
2006年10月29日 於:宇都宮市民会館
- 大津シンフォニックバンド (5)Dithyrambos for Wind Orchestra(高昌帥)
- 松陽OB吹奏楽団「緑」 (1)バレエ音楽「白鳥の湖」より(チャイコフスキー)
- 土気シビックウインドオーケストラ (5)組曲「惑星」より木星(グスタフ・ホルスト)
- アンサンブルリベルテ吹 (5)鳳凰が舞う(真島俊夫)
- J.S.B.吹 (3)交響組曲第1番より(天野正道)
- 百萬石ウインドオーケストラ (3)「スペイン狂詩曲」より祭り(モーリス・ラヴェル)
- 大曲吹奏楽団 (3)ゴシック(木下牧子)
- 浜松交響吹奏楽団 (5)交響組曲「ガイア」第2楽章(天野正道)
- 川越奏和奏友会 (5)「祝典のための音楽」より(モートン・グールド)
- 東京正人吹奏楽団 (1)ウインド・ブリッツ(デレック・ブージョワ)
- 横浜ブラスオルケスター (5)吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」より(高昌帥)
- 倉敷市民吹グリーンハーモニー (3)四つの交響的印象「教会のステンドグラス」より(オットリーノ・レスピーギ)
- 創価学会関西吹奏楽団 (1)科戸の鵲巣(中橋愛生)
- ウインドアンサンブル・ドゥ・ノール (3)「ハリウッド組曲」より(グローフェ)
- 名取交響吹奏楽団 (1)シダス(トーマス・ドス)
- BMSウインドアンサンブル (5)空中都市「マチュピチュ」(八木澤教司)
ここ数年の邦人委嘱作ブームはひと段落ついたようですが、依然としてオリジナル、それも邦人の新作がしめる割合が多い! 見るからにワクワクする曲目が並びます。全国大会はこうでなくてはなりません。
まず邦人の委嘱作・注目作から。
毎年恒例、大津SBの新曲は今回は高昌帥! やはりいいところに目をつけますね。「ディテュランボス」とは、辞書によると、有名な酒神ディオニュソスを讃える熱狂的な音楽のことらしいです。「ディオニュソスの祭り」のように強烈な音楽なのでしょうか? OSBの熱演が楽しみです!
そして昨年久々の金賞で勢いに乗る大曲吹奏楽団は、初の委嘱作が木下牧子の「ゴシック」。課題曲もIIIを選び、勝負に来ました。課題曲・自由曲同一作曲家で全国大会出場は、97年の習志野ウインド以来でしょうか? バリバリの現代曲とのことで、東北では県大会から早くも話題沸騰だったようです。
実力派アンサンブルリベルテは真島俊夫の「鳳凰が舞う」ですが、真島氏の名曲「三つのジャポニスム」的な曲想になるのでしょうか。リベルテの圧倒的な技術力とともに、「和」の世界を堪能できそう。
浜松交響吹奏楽団は昨年に引き続き、天野正道未完の大作「ガイア」から第2楽章。今回の章タイトルは「人類が地球環境に及ぼす影響を考察する楽章 ―文明の発展、戦争そして崩壊―」。人類が行う最も愚かな行為のひとつである戦争について、地球的視野から描写する音楽になるようです。何というか、どんな音楽になるのか想像もつきませんねぇ。聴くのに体力を消耗しそうな「ガイア」の前に、JSBの「交響組曲第1番」で癒されておくことをお勧めします。
委嘱作以外の邦人曲の中では、横浜ブラスオルケスターが昨年に引き続き「響宴」から高昌帥の「陽が昇るとき」を演奏。「響宴」では第1楽章だけでしたが、今回は終楽章まで含めた抜粋版。スケールの大きい高昌帥の世界に期待しましょう。
同じく「響宴」演奏曲から、創価学会関西は今最もホットな新人作曲家、中橋愛生の「科戸の鵲巣」。一発変換できませんが、「しなとのじゃくそう」と読むそうです。「科戸」は風とともに祝祭を表す古語、「鵲巣」は風の起こる場所。合成させて、風の起こる場所=吹奏楽による祝典音楽という意味。現代音楽作曲家の中橋氏の音楽にしては珍しい、調性音楽っぽい華やかな音楽とのことですが、安定した実力を誇る関吹がどう表現するのか注目です。
編曲作品では、まず川越奏和奏友会のグールド作品。モートン・グールドといえば吹奏楽ではいくつかのオリジナル曲で有名ですが、管弦楽作品はあまり知られていません。編曲者が天野正道というのも興味を引きます。そして例年指揮者の自編自演で好演を残すドゥ・ノールは、グローフェ作曲「ハリウッド組曲」です。きたろーは不勉強にして「グランド・キャニオン」「ミシシッピ組曲」しか知りませんでしたが、アメリカ愛にあふれたグローフェがハリウッドをどう表現しているのか気になります。
新曲・注目作・注目団体が目白押しの一般の部。もう成績とか関係ないですね。今年のコンクールを締めくくる華麗な競演に酔いしれましょう!