竹本健治『ウロボロスの純正音律』
ウロボロスの純正音律ミステリ作家、竹本健治は黒っぽいコートを着た編集者、南雲一範からの依頼で、初めて書き下ろしの漫画を描くことになった。いつか漫画家になることを夢見ていた竹本は、一も二もなく依頼を受けた。竹本は、この漫画をただの漫画で終わらせるのではなく、漫画をちょっとでも書けるミステリ作家や関係者やファンなどにたくさんアシスタントをやってもらったら壮観なのではないかと構想した。しかしこの「千人針アシスタント」を実行するためには、大勢のアシスタントを一度に収容できる広い仕事場が必要になる。そこで南雲氏が仕事場として提供したのが、南雲家伝来の屋敷、「玲瓏館」だった。あまりにミステリ的に雰囲気の良すぎる館を前に小躍りする竹本だが、これが館にまつわる数々の謎と、連続殺人への幕開けなのだった――。
7年かけた連載がやっと完結。『暗黒館』よりも待たされた「ウロボロス」シリーズ最新刊(完結編?)が遂に登場。
メタとしても本格としても中途半端な感じは否めませんが、何というか、このお祭り的雰囲気は他には代えられないですね。楽しかったです。
この話のモチーフになっている竹本健治の漫画『入神』は、たぶん今は絶版ですが、当時読みました。あの頃はまだ『ヒカルの碁』の連載は始まっておらず*1、囲碁に対する知識ゼロだったんですが、絵はプロ漫画家には全く及ばないものの、対局の緊張感が素晴らしく、引き込まれた覚えがあります。
>感想ページへ