桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』

赤朽葉家の伝説
赤朽葉家の伝説

鳥取の旧家、赤朽葉家は古くから製鉄業で財をなし、山の中腹に真っ赤なお屋敷を構えて街々を睥睨している。民俗学的には「サンカ」と呼ばれることになる山の民によって街に置き去りにされた幼子、万葉には不思議と未来を見通せる能力があったが、赤朽葉家の女当主に見込まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。高度成長期の世の中で赤朽葉万葉は4人の子をなしたが、長女の毛毬は何もかもが過剰なバブル景気の時代に破格の不良少女として育ち、波乱万丈の人生を駆け抜けた。そして不況が長く続く平成の世に「わたし」こと赤朽葉瞳子は成長する。

すばらしい大河小説。時代ごとに様々な小説の楽しみを提示してくれて、なおかつ戦後日本社会が歩んできた道のりを的確に描写していく。
本当に上手いと思います。極上のエンターテインメント。素直に面白かったです。
第60回推理作家協会賞受賞、おめでとうございます。
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