三津田信三『首無の如き祟るもの』

首無の如き祟るもの (ミステリー・リーグ)
首無の如き祟るもの

「淡首様」を祀る媛首山が中心にある媛首村。この村を支配する旧家、秘守家では、淡首様の祟りを恐れて、それを回避するための様々な儀式を跡継ぎに行わせていた。秘守家の本家、一守家には長寿郎と妃女子という双子の子供がいたが、13歳になったときに二人が媛首山で行った儀式のおり、妃女子は井戸の中で死体となって発見される。そして長寿郎が23歳になったとき、花嫁選びの儀式の最中に、花嫁候補の一人が首無し死体となって発見され、さらに長寿郎が行方不明に・・・。密室となった山の中で、次々と発生する連続殺人。犯人はなぜ首を持ち去ったのか――?

刀城言耶シリーズ第3弾。しかし今回は登場はほとんど登場せず、最後の最後でやっと推理を披露して真相を喝破するわけですが、なぜこのような構成にしたのか、といったところも含めて、見事な作品構造を持っていると思います。
何よりも首切りのロジックが素晴らしい。探偵役のただ一言を持って、入り組んだ謎がするするとほどけていくさまは圧巻。複雑になりがちな「首のない死体」ジャンルで、これだけサプライズ・カタルシスを与えてくれたのは・・・『占星術殺人事件』以来か。
傑作。とにかく読むべし!
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