北方謙三『三国志』第1巻

三国志 (1の巻) (ハルキ文庫―時代小説文庫)

三国志 (1の巻) (ハルキ文庫―時代小説文庫)

水滸伝』を読み終わった勢いで、それ以前に北方謙三が発表していた『三国志』も読み始めました。
思えば、少年の頃吉川英治の『三国志』を読みふけったのが、本格的な読書の原点だったような気がします。やっぱり面白いなあ。これだけ完成度の高い作品になると、北方謙三といえどもそれほどラディカルなアレンジは出来ないだろうと予想。
第1巻は劉備関羽張飛が義兄弟の契りを交わすところから、董卓が洛陽を焼き払い、荊州孫堅が死ぬところまで。相変わらず訥々とした語りの北方節なので、あまり曹操呂布の凄さが伝わりにくいのは残念だが(何しろ『蒼天航路』の呂布が凄まじかったですから)、呂布の境遇にオリジナリティを加えることによって、より人間くさい新しい呂布像が描かれているのが面白かったです。
貂蝉が登場しないなど、『演義』よりも正史に拠って書いているのかもしれないですね。