鮎川哲也『人それを情死と呼ぶ』
人それを情死と呼ぶＡ省の汚職事件の渦中にある貝沼産業の販売部長だった遼吉が、まさに司直の手が会社に及ぼうとしたとき、失踪した。良吉の妻照子は、当初汚職事件をめぐるトラブルに夫が巻き込まれたのではないかと考えたが、夫と浮気関係にあったらしい女性の存在が浮かび上がり、愕然とする。はたして箱根の山中で遼吉と女性が情死体となって発見された。しかし良吉の妹由美は、小さな矛盾から二人の死が自殺ではなく他殺ではないかと疑いをかけた。良吉の死によって利益を得る人物は誰か――彼の死によって司直の手をまぬかれた二人の男が容疑者として浮かび上がる。しかし両人には鉄壁のアリバイがあった・・・。
なにしろ幕切れが印象的。ドラマが何度も作られたというのも良くわかります。
本格ミステリとしては今ひとつと感じました。鬼貫警部があんまりでてこないのも、作品構造上良くわかるんだけど、どうかなあと。ミステリとしては非常に面白かったです。
