有栖川有栖『乱鴉の島』

乱鴉の島
乱鴉の島

瀬戸内海に浮かぶ鳥島に骨休みにやってきた火村助教授と作家の有栖川有栖は、船を動かしてくれた漁師の手違いで、烏が乱舞する通称烏島にやってきてしまう。烏島には、大詩人で英文学者でもある海老原瞬の別荘以外に、人の住んでいる場所はなかった。そしてこの日、海老原先生を慕って多くの人が烏島に渡島していた。船は翌日以降でなければ来ないという状況で、「招かれざる客」となった火村と有栖は、海老原邸に泊めてもらうことになった。その日の夜、さらなる「招かれざる客」、オタクカルチャーを世界中に発信して一躍マスコミの寵児となったカリスマ社長、初芝真路が島に飛来した。初芝は、島に逗留している科学者の藤井に、ある依頼を要請しに来たのだという。初芝をめぐって急に険悪になる島内の雰囲気、不思議な連帯感で結ばれた逗留客の謎、そして思わぬ殺人事件が発生する・・・。

孤島もの、という感じで期待すると肩透かしにあうかもしれません。状況はまさしくクローズドサークル、しかし物語の核となる要素や最も重視される謎解きは、まったく別のところにあります。これはこれで面白かったです。
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