山田正紀『翼とざして』

翼とざして  アリスの国の不思議 (カッパ・ノベルス)
翼とざして アリスの国の不思議

  • 著者:山田正紀
  • 出版:光文社カッパ・ノベルス 2006年5月

ベトナム反戦運動沖縄返還、そして南西諸島の領有権をめぐって揺れる70年代の日本。左翼運動が退潮期に入る中で、活発な活動を展開していた右翼青年団体「日本青年魁別働隊」は、中国・台湾との領有権問題の焦点となっている無人島に、日本の領有権を主張するための小さな灯台を設置するために上陸した。しかし、上陸早々、女性同志が崖から突き落とされるという事件が発生する。わたしは、わたしが彼女を崖から突き落とすのを見た・・・。混乱した私は、仲間から殺人犯人として追及されるのを恐れて孤島の中を逃走するが――。

山田流ジャプリソ+『そして誰もいなくなった
沖縄返還とともに日中台の領土問題が噴出したというのは、あまり知りませんでした。考えてみれば納得。いま騒がれている尖閣諸島問題などは、ここ30年ばかりの新しい問題なのだなあ。
それはともかく、ミステリとしては個人的に今ひとつでしたが、試みは斬新で、さすが山田正紀です。
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